静岡キャンパス
地域のニーズに応える人文学部
海洋学部は3学科2専攻に
2022年度にbet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户が実施を構想している全学的な改組改編「日本まるごと学び改革実行プロジェクト」で、清水校舎(静岡キャンパス)の海洋学部が学科再編され、地域のニーズに応えるため人文学部も設置される。海洋国家を支える人材を育成してきた同校舎の今後の展望を山田吉彦静岡キャンパス長(海洋学部教授)、海洋学部の秋山信彦学部長らに聞いた。
幼稚園から大学院まで、完全な一貫教育体制が整っている静岡キャンパス。山田キャンパス長は、「地元である静岡に貢献できる人材の育成が重点を置くべき使命。キャンパス一体となって進めていく」と語る。
今回の改組改編も学園の一貫教育体制の強化につなげるとともに、静岡県や静岡市の行政や企業関係者らから寄せられる地域における人材育成に関するニーズに応えるものだ。「現行の海洋文明学科と環境社会学科の一部を発展させる新しい人文学部では地元企業と連携し、県内で中核となれる人材を育てたい」と山田キャンパス長。
人文学部では専門を横断させた「地域マネージメント」「グローバルコミュニケーション」「クリエイティブカルチャー」の3分野の授業を設置。同時に5科目10単位を1セットとし複数教員が担当する多彩な研究講座科目群が設置される計画となっている。新学部の開設に携わる海洋学部の川崎一平副学部長は、「人文学は文学や美学、哲学、歴史学、人類学など人間が持つ『価値』を考える学問体系。激しく変化する現代社会では”人間の多様なありよう”を研究してきたこの分野の必要性はいっそう高まっている」と語る。
また、キャンパス間留学制度を活用した短期プロジェクト型プログラムや静岡市など包括協定を結ぶ都市との「超学際的」プログラムも計画されている。川崎副学部長は、「すべての教育資源を集め、学部の魅力をつくっていく」と意気込みを語っている。
3学科2専攻体制で
海洋教育?研究の充実を
海洋学部は現行の6学科4専攻体制から海洋理工学科海洋理工学専攻、同航海学専攻、水産学科、海洋生物学科の3学科2専攻体制に移行する。秋山学部長は、「創立者?松前重義博士が掲げた『資源を他国に求めるのではなく、広い海洋に求めよう』という本学部の理念をいま一度見直し、海洋国家日本を支える人材の育成につなげていきたい」と話す。
海洋理工学科は現行の環境社会学科の一部と海洋地球科学科、航海工学科を統合しての設置となる。海洋理工学専攻では「海洋科学」「海洋資源開発」「海洋機械工学」の3コースを設置。在学生が入学後に学びを進める中で適したコースを選択できるようになる。また航海学専攻では航海工学科から引き続き学園の海洋調査研修船「望星丸」を用いて船舶運航のプロが育成される。
齋藤寛学部長補佐は、「専門性を深めるためにも大学院への進学を促し、6年間で専門家を育てる環境を整えたい」と語る。
水産学科では現行の生物生産学専攻と食品科学専攻の流れをくみ、水生生物を養殖する技術を学べる生物生産学コースと、水産生物の利用方法や加工法のほか、衛生管理の資格取得も重視する食品科学コースを設置。海洋生物学科は「海洋生物と人」をコンセプトに、人とのかかわりや共生について学べるカリキュラムが用意される。
「人文学部との共通科目も設ける予定。海のそばにあるキャンパスという立地も生かし、ウインドサーフィンなどのマリンスポーツを体験できる科目も開講したい」と秋山学部長。齋藤学部長補佐は、「各学科の専門につながる英語教育も充実を図る」と語る。
山田キャンパス長は、「海洋学部は全国の大学におけるこの分野の先駆け。人文学部も含め、今後も地域にとって”いてほしい””なくてはならない”大学として、静岡にとってかけがえのない存在になることを目指していく」と話している。
児童教育学部
短期大学部の知見を継承
実践型カリキュラムで人材育成
短期大学部児童教育学科で培われてきた知見や経験を引き継ぎ、湘南校舎に新設される児童教育学部。22年度の実施が構想されている改組改編後は、神奈川県西部地区では唯一、東海大の中でも初めての教育系学部となる。実践型のカリキュラムで学生を育成する新学部の展望を短期大学部の山本康治学長(児童教育学科教授)と桑原公美子教授に聞いた。
児童教育学部は児童教育学科の1学科で、定員は150人を予定している。短大の2年間から4年間に延びることで「多様な子どもへの対応力の強化」や「子どもを連続的にとらえる力の養成」「地域連携型実践力の養成」に力を入れていく。カリキュラムには「実践フィールド」と「リフレクションフィールド」で構成される「教員?保育者育成コア科目群」が用意される。
山本学長は、「これまで実施してきたショートインターンシップや実習などを『実践フィールド』とし、『リフレクションフィールド』でその内容を振り返ります。さらに、4セメスター終了後には複数のキーワードをもとにした『学びの統合レポート』の提出も考えています。自分なりにまとめることで、多様な学びがなぜ必要なのかという”つながり”が見えてきます。これをもとに教員と面談し、卒業研究の端緒となる『発展ゼミナール』につなげていきたい」と話す。
また、短大が16年度に採択された文部科学省の平成28年度大学教育再生戦略推進費の大学教育再生加速プログラム「高大接続改革推進事業」による取り組みでは、児童教育学科を中心に学習評価システムの見直しが図られ、座学の成績だけでは測れない観点別成績評価の仕組みである『ディプロマ?サプリメント』が導入されている。桑原教授は、「学生の資質?能力を確認でき、教員は学生の面談で活用してきました。4年制では全学年で600人の学生となり、教員が対応できる新たなシステムも必要になります。学生一人ひとりに向き合う仕組みを考えていく」と話す。
また、短大ではキャンパス内に「あかちゃんひろば」が設置され、学生と教職員が子育て支援に取り組んできたが、湘南校舎でも実施が検討されている。桑原教授は、「地域や保護者を巻き込みながら手探りでつくってきた活動。キャンパスが変わってもトライしていきたい」と意気込む。
山本学長は、「教育とは総合学。多様な学部学科のある東海大のスケールメリットを生かし、他学部とコラボレーションした子ども向けイベントなども考えていく」と話している。