医学部医学科では4月26日に伊勢原キャンパスで、「2018年度医学部研究成果報告会」を開催しました。本学部では、医学とその関連諸領域における研究レベルの向上と優れた研究の重点的な支援を目的として、研究助成金制度を設けています。この報告会は、本制度の採択を受けた研究について、1年間の成果を報告するものです。当日は18名が19テーマについて口頭発表し、教職員や大学院生ら多数が参加しました。
はじめに、副学長の坂部貢医学部長が登壇。「本学はブランド力の強化を目指し、大学を挙げて研究力の向上を推進しています。その原動力となるのが、皆さんが取り組んでいる医学研究です。今日は活発に意見を交わし、研究の進展や新たな視点の発見につながる有意義な会にしてください」とあいさつしました。
続いて各研究者が、過去に本制度による助成を受けた研究の中でさらに発展が期待されるテーマを支援する「医学研究基金」を受けた1件と、将来を嘱望される研究者の主導による創造的かつ先端的な研究について助成する「医学部プロジェクト研究」の採択を受けた3件について発表。さらに、医学関連研究のレベル向上に寄与すると認められる優れた研究を重点的に支援する「医学部研究助成金(重点的研究)」を受けた15件についての終了報告を行いました。
最後に大学院医学研究科の小林広幸研究科長が、「各研究について多くの成果が得られただけでなく、外部資金の獲得につながるなどの発展も見られ、頼もしく感じています。学内では、より多くの研究者に多様な研究をしてもらうためのサポート強化を図っています。本制度などを活用し、研究のステップアップはもちろん、研究ユニットの形成や大型プロジェクトの実施へと展開させてほしいと願っています」と期待を語りました。
なお、発表者と研究テーマは以下のとおりです。
【医学研究基金】
◇座長:秦野伸二教授(伊勢原研究推進部長)
1.小路 直准教授(外科学系泌尿器科学)
「前立腺癌に対する3次元的局在診断に基づく局所治療の確立」(最終年度)
【医学部プロジェクト研究報告】
◇座長:秦野伸二教授(伊勢原研究推進部長)
1.本島 英准教授(基盤診療学系臨床薬理学)
「転写因子の競合によるポドサイト傷害の拡大」
2.酒井大輔准教授(外科学系整形外科学)
「脊柱変形、側弯症の成因探索と治療法開発―椎間板組織と3次元動作の解析から―」
3.池田仁惠講師(専門診療学系産婦人科学)
「血清網羅的糖ペプチド解析を用いた卵巣癌早期診断および個別化医療診断システムの開発」
【医学部研究助成金(重点的研究)終了報告】
◇座長:竹腰 進教授(伊勢原研究推進部次長)
1.遠藤 整講師(基盤診療学系衛生学公衆衛生学)
「がん微小環境適応における代謝リプログラミングを標的とした治療法の創成」
2.柳川享世特任助教(基盤診療学系先端医療科学)
「新規肝再生促進因子に着目した難治性肝硬変に対する革新的治療法の創生」
3.矢沢正樹(内科学系血液?腫瘍内科学/大学院医学研究科)
「腸内細菌叢の多様性を担うIgA生産機序の解明」
4.小路 直准教授(外科学系泌尿器科学)
「前立腺癌に対する癌局所療法(focal therapy)の確立」
5.宮澤麻里子特定研究員(専門診療学系産婦人科学)
「癌の微小環境をターゲットに治療効果と有害事象に着目した新たな抗腫瘍薬の開発」
6.柏木寛史助教(専門診療学系産婦人科学)
「炎症を伴う異常妊娠とのPZPの関連性の解析」
7.小見山智義准教授(基盤診療学系臨床薬理学)
「神経調節性失神患者のアデニル酸シクラーゼ活性量を用いた新たな診断?治療法の開発」
8.アブドゥル?アジズ特定研究員(内科学系血液?腫瘍内科学)
「空きニッチの誘導による新しい造血幹細胞移植法の確立」
◇座長:佐藤正人教授(伊勢原研究推進部次長)
9.隅山香織准教授(基礎医学系生体構造機能学)
「新規インターロイキン17A阻害薬候補化合物の実用化に向けた解析と評価」
10.三浦浩美特定研究員(基盤診療学系先端医療科学)
「内在性遺伝子イントロン領域を活用した、糖尿病の新規遺伝子治療の試み」
11.紙谷聡英准教授(基礎医学系分子生命科学)
「肝臓における性差を制御する分子メカニズムと疾患との関連」
12.大貫優子准教授(基盤診療学系医療倫理学)
「炎症性筋疾患及び薬剤副作用筋炎機序解明のための感受性遺伝子の探索」
13.森町将司臨床助手2種(内科学系消化器内科学)
「長期生存膵癌における特異的microRNAの解明」
14.原田介斗(内科学系血液?腫瘍内科学/大学院医学研究科)
「骨髄内脂肪細胞による造血再生障害メカニズムの解明」
15.川井英嗣助教(内科学系血液?腫瘍内科学)
「予後不良な急性骨髄性白血病に対するCRMI阻害薬の効果と分子メカニズムの解明」