bet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户文明研究所では6月5日に、オンラインシンポジウム「美人画?熟考」(共催=女子美術大学美術館、美人画研究会)を開催しました。本シンポジウムは、教職資格センターの篠原聰准教授を研究代表者とするプロジェクト「美人画に関する基礎的研究」の一環として、女子美術大学美術館の「柿内青葉展」に合わせて開催したものです。第1部、第2部、ディスカッションのセクションに分け、これまで顧みられることの少なかった美人画の歴史や成り立ちをじっくりと考えるという趣旨のもと、それぞれのパネリストが知見を発表し、学生や一般の方など約80名が参加しました。
開会にあたり、本研究所の山本和重所長(文学部教授)が、「今回のシンポジウムが日本近代美術史の研究の進展のために有益なものとなることを祈念します」とあいさつ。続いて、女子美術大学美術館館長の稲木吉一氏が、「近年人気の高まる美人画のあり方を問うものとして、先生方の発表を楽しみにしています」と語りました。第1部では「大正から昭和初期の日本画と美人画」をテーマに、神奈川県立歴史博物館主任学芸員の角田拓朗氏が本シンポジウムの趣旨を説明するとともに、作家?作品批評や美人画の定義、またジェンダー論との関係など、近現代の美人画をめぐる問題を整理しました。続いて、実践女子大学美学美術史学科教授の児島薫氏が「美人画は誰のため?大正から昭和初期を中心に」と題し、官展における美人画の扱いと、そこでの女性像のあり方などについて説明しました。次に、東京文化財研究所文化財情報資料部部長の塩谷純氏が、新古典主義の観点から美人画を捉えることで見えてくる解釈の可能性を示しました。また、柿内青葉展担当学芸員の藤田百合氏が女子美術大学美術館で開催中の「柿内青葉展」について紹介。実際の展示の様子を示しながら、作品の説明や展示の意義を語りました。
「『芸術新潮』誌上(1991.7)の座談会のその後」をテーマにした第2部では、篠原准教授が進行役を務め、アートマガジン『芸術新潮』1991年7月号における「なぜ消えた 大正日本画」と題した座談会での問題提起について、有識者が研究成果を報告。大分大学教育学部教授の田中修二氏が約30年前に、『芸術新潮』誌上で提起された大正期日本画の再評価について考察する意義を語り、大正から昭和にかけて活躍した日本画家の西山翠嶂と福田平八郎を軸に解釈し直す試みが示されました。また、笠岡市立竹喬美術館の元館長である上薗四郎氏が、近代日本画の先駆者である竹内栖鳳を中心に、大正?昭和期の日本画家をとりまく社会状況や制作現場のありようを動画で紹介。その後、山口大学国際総合科学部元教授の菊屋吉生氏が昭和初期の美人画におけるメタファーについて、表象としての犬とモダン美人像の関係を語りました。
最後に行われたディスカッションでは、美人画家という存在について、地域性や画塾、師弟関係から捉える方向性が示されるとともに、ここまでに挙げられた問題提起や新たな観点ついて議論が深められました。尚、柿内青葉展は女子美術大学美術館にて6月26日(土)まで開催しています。
◆女子美術大学美術館の「柿内青葉展」