大学院生物学研究科2年次生の中川恵佑さん(指導教員=櫻井泉教授?生物学部海洋生物科学科)が、5月25日に東京海洋大学品川キャンパスで開かれた2024年度日本水産工学会学術講演会で研究成果を発表。学生優秀賞に選出されました。同学会は、水産工学に関する科学技術の進歩および水産業の振興を図り、学術文化の進展に寄与することを目的とした学術団体です。今回は学生、大学院生による口頭発表が9件ありました。
中川さんは、「マナマコ稚仔の砂泥忌避に及ぼす水温と低湿粒径の影響」をテーマに発表しました。櫻井教授の研究室では、2019年度から北海道留萌市にある本学北海道地域研究センターの留萌臨海実験所でマナマコの人工採苗を開始。稚ナマコを育て一部を漁港内に放流するとともに、本学が開発した独自の空気ポケットフェンスが備わった中間育成施設に放流して育成技術の調査?研究に取り組んでいます。しかし、同施設での稚ナマコの生存率が低いことを受け、中川さんは生物学部海洋生物科学科在籍時の卒業研究で、稚ナマコが成長するための好適環境を調査。大学院進学後も研究を続けた結果、体長25㎜以下の個体の行動は堆積する砂粒の大きさ、50㎜以上の個体の行動は季節の変化に伴う水温上昇の影響を受けていることが判明しました。
学会での口頭発表は初めての経験だったものの、「当日までしっかり準備してきたので、普段通り落ち着いて発表できました。今年1月に同じ研究室の先輩が日本水産学会北海道支部大会で最優秀学生講演賞に選出されたことが大きな刺激になり、自分も続きたいと思っていたので今回受賞できたことは本当にうれしい」と笑顔で振り返ります。指導にあたる櫻井教授は、「卒業研究から粘り強く取り組んできた成果であり、稚ナマコの生態を多角的に検証したことが評価されたのだと思います。全国大会での受賞は後輩たちにとってもいい刺激となり、最近は研究室全体が活気に包まれています。学会発表で経験したプレゼンテーションの能力はどんな仕事にも必要となるので、就職活動でも今回の受賞を自信にしてほしい」と期待を寄せました。
中川さんは30日に、櫻井教授と共に網野真一札幌キャンパス長を訪問。賞状を手に今回の受賞を報告し、網野キャンパス長から激励の言葉が寄せられました。今後は修士論文の作成に向け、稚ナマコの体長や砂泥環境など調査内容の幅を広げて研究を継続していきます。