生物学部海洋生物科学科では8月25日から27日まで、北海道小樽市で開催された海と日本プロジェクト「ひょうご?おたる運河調査隊2023」(主催:海と日本プロジェクトinガッチャンコ北海道実行委員会)に協力しました。本企画は、人類を支える海の現状を伝え、海を未来へつないでいくためのアクションの輪を日本全国に広げていくことを目指す日本財団主催の「海と日本プロジェクト」の一環で開催されたもの。今年度は「『運河と環境(保全)』~発展の歴史と環境から運河の未来を探る~」をテーマに実施され、北海道と兵庫県から計40名の小学5、6年生が参加しました。
7月に兵庫運河で行われた第1回調査では、堆積物や水質を調査したほか、アサリによる水質改善の実験などが行われ、参加者たちは環境改善が進む現状を学びました。小樽運河を会場とした今回の第2回調査では、本学科の南秀樹教授(生物学部学部長)、大橋正臣教授、野坂裕一講師が講義や実験などを担当し、有志学生9名もサポート役を務めました。児童らは1日目に小樽市総合博物館運河館で歴史や現状について講義を受けた後、実際に運河を歩いて現況調査と観光客へのヒアリング調査を実施。その後、開講式が行われ、南教授がプログラムへの期待を述べました。また、小樽運河クルーズ船での現況調査も行われました。2日目は朝から運河の清掃?ごみ拾いに参加し、種類や量、どこから来たのかといった内容を分析。続いて南教授、大橋教授、野坂講師の指導の下、運河の水や堆積物、ネットを引いてプランクトンを採取し、水中カメラで運河に生息する魚類も観察しました。小樽港湾事務所に移動し、採取したサンプルを分析したほか、おたる水族館ではニシンやホッケなども観察。海岸に移動して海に入り、天然の藻場が幼魚や稚魚の生育場になっていることなども学びました。最終日はグループに分かれ、兵庫と小樽で学んだこと、共通点や相違点などを付箋に書き出し、壁新聞にまとめて発表しました。
大橋教授は、「小樽では大きな船を沖に泊め、はしけ(台船)を使って荷揚げしてましたが、取扱い貨物量が多くなり、効率化をはかるため海面を埋め立てたことで「小樽運河」ができました。一方、兵庫運河は掘り込み式の運河であり、2つの運河の環境は異なっているものの、共通して海水と陸水、人間活動の影響を受けています。両方の運河を調査することで、参加者たちは違いや今後の運河や海、環境のあり方について考えてくれたと思います」と話します。3日間のプログラムでは学生たちがさまざまな場面でサポートし、「プログラムが始まる前に、参加した子どもたちには“分からないことは大学生にどんどん聞いてね”と声をかけました。生物について学び、子どもが好きな学生ばかりなので、実験などは分かりやすいように説明し、まとめでも積極的に参加者の声を聞いていました。学生にとっても大きな成長の場になったのでは」と話していました。