工学部精密工学科では1月17日に湘南キャンパスで、「第3回精密工学科ハンドスピナー選手権」を開催しました。製図の方法から実際の作品が完成するまでを体験してほしいと、窪田紘明講師(機械工学科)が担当する3年次生の授業「精密システムデザイン」の一環で企画したものです。履修学生たちは中央のベアリング部分を2本の指で持って回転させる「ハンドスピナー」のデザイン案を考え、人間工学や流体力学、機械力学などの知識を生かして改良を重ねてきました。株式会社JMCのオンライン見学会なども通して学びを深め、学生の設計データに沿って同社が3Dプリンターで部品を制作。学生たちは重りをつけたり、色を塗ったりして完成させました。
競技会には19名の学生が参加し、初めに力学や意匠に優れた「デザイン賞」を受賞した8名が自身の作品についてプレゼンしました。森山雄介さんはオブジェのように見立てた大きな円形の本体に、片面だけ持ち手を付けて持ちやすさを重視した作品を製作。堤大樹さんはボタン電池を重りの代わりにしてLEDライトを点灯させる工夫を盛り込みました。松野清孝さんは5歳から小学校高学年までが楽しめるようにと対象を設定し、「側面を平らにして転がしても遊べるようにしました」とコメント。野出遼介さんは回すと遠心力で外側に細かなパーツが開く設計に挑戦しました。
続いて行った競技会では、事前審査で好記録を期待できると判断された6名は1回、他の13名は2回タイムを計測し、よいほうの記録を争いました。佐々木求貴さんが同競技会の最長タイムを更新する7分48秒で優勝し、水谷直暉さんが6分10秒で2位、青木崇紘さんが4分40秒で3位となりました。佐々木さんは金属リングによる回転モーメントの向上と磁気吸引による垂直抗力を低減させるため、中央のベアリングを磁石で釣り上げる構造とし、「これまで学んできた知識やハンドスピナーに関する動画を見て設計に生かしました。座学とは異なり、さまざまな知識を作品にどう落とし込んでいくかを考えるのは難しい面もありましたが、とても楽しかった」と充実の表情を見せました。窪田講師は、「年々レベルが上がり、特に今年度は工夫を凝らした作品が多かったように感じています。実際に物を作る経験は得るものが大きい。成功も失敗も今後に生きる経験になったのではないでしょうか」と話していました。