大学院工学研究科2年次生の澤口佳那愛さん(指導教員=工学部航空宇宙学科航空宇宙学専攻?水書稔治教授)が、11月23日から12月1日まで北海道?陸上自衛隊矢臼別演習場で行われた経済産業省主催の「火薬類保安技術実験」に参加しました。この実験は、火薬類取締法の改正時に必要なデータ取得を目的に定期的に行われています。2006年からは、全国各地に設置されている火薬庫の周辺環境が居住地の拡大などにより変化していることを受け、適切な保安距離や施設機能を再検討するために多様な試験が実施されています。今回は、火薬庫をはじめとする火薬類製造施設周囲の地形が爆風圧の低減に及ぼす効果について検証されました。
澤口さんは航空宇宙学専攻4年次に、火薬に関する研究機関や製造企業の研究者、ロケット製造?打ち上げ担当者らが業務を行う際に必要な国家資格である「火薬類取扱保安責任者(甲種)」を取得。この資格を生かし、一昨年から産業技術総合研究所の一員としてこの実験に参加しています。今回は、火薬庫と住宅地の間に丘や山があることを想定し、最大40kgの含水爆薬(建設現場や採石場で使われる産業用爆薬)を爆発させた際に生じる爆風圧の減衰状況を計測。澤口さんは爆発の瞬間を撮影する高速度カメラの映像から、爆発後の地面の状態や飛翔物などを記録する役割を担いました。実験を振り返り、「前回の経験から機材の準備やデータの記録などスムーズに行うことができ、初めて参加する他大学の学生にアドバイスする機会もありました。修士課程を修了する来春には産総研への就職が決まっているので、これまでの知識や経験を生かして研究に励みたい」と語っています。