今年3月に大学院工学研究科機械工学専攻を修了した小澤亮太さん(指導教員=工学部航空宇宙学科?水書稔治教授)が、3月12日から14日まで東北大学で開かれた「2024年度衝撃波シンポジウム」(主催=日本衝撃波研究会)で口頭発表を行い、若手ベストプレゼンテーション賞を受賞しました。32歳以下の若手研究者を対象とした賞で、今回は60件を超える口頭発表?ポスター発表の中から3名が選出されました。

水書教授の研究室では、衝撃波などの高速流体を可視化する技術の開発に取り組んでおり、小澤さんは2024年度の1年間、計測用の高速度カメラに用いる光学素子の試作に取り組んできました。共同研究に取り組む東京科学大学の研究施設でさまざまな微細加工技術、および装置を使用し、2センチ四方の酸化チタンの基盤に約15マイクロメートルの素子を作る細かな作業に挑戦。「気温や湿度に左右されなかなか狙った形にならなかったけれど、前のプロセスで失敗したところから少しずつ数値を置き換え何度もやり直すことで、目標としていた形に近付いていきました。共同研究者の先生方は私たちと専門分野が異なるので、いつもと違う視点からアドバイスをいただき視野が広がりました」と振り返ります。
今回発表した研究は「複屈折結晶を利用した位相変位干渉計用素子の試作と光学的特性」をテーマに、水書教授の研究室が目標とする飛行機の後方乱気流の可視化を実現するために取り組んできました。「“光学素子を使えば役に立つ”という思いがモチベーションとなり、時間をかけて糸口を見つけ、今回の成果につなげることができました。研究室に所属してからは、不可能だと思っていたことが可能だと気づく瞬間が何度もあり自信につながりました」と笑顔を見せます。水書教授は、「半導体のような細かい部品を作る根気のいる作業は苦労も多かったと思います。シンポジウムでは高いレベルの研究発表が多くあった中で、上位3名に選出されたのは努力の結果であり、とても誇らしいことだと感じます」と評しました。