湘南キャンパスで11月24日に第6回宇宙建築賞の審査会が行われ、大学院工学研究科建築土木工学専攻1年次生の山田弦太朗さんと細井陸さん、笹川武秀さん、クパウィワート?チタトーンさんのグループが入賞しました。宇宙建築賞は本学工学部建築学科の十亀昭人准教授や、宇宙飛行士の山崎直子氏らが運営している実行委員会が毎年開催しています。今年度は「宇宙農業施設の提案」がテーマで、本学のほか全国の大学生らが結成した13チームが、審査委員長の長沼毅氏(広島大学大学院総合生命科学研究科)らの前でプレゼンテーションを行いました。
山田さんらは「Seleno-Fibre」のタイトルで、月面にある「マリウスヒルの縦孔」をベースとして地下に広がる横孔に居住空間と農業空間を2層で作り、間をスロープでつなぐアイデアを提案しました。月面上から垂らした柱で全体を支え、1層目に居住空間を、2層目に農業空間をそれぞれ設定。それぞれの空間は用途や利用者数に応じたユニットを組み合わせた形にすることで、拡張性や汎用性を担保しました。また、縦孔から差し込む太陽光は鏡を使って反射させながら内部に誘導し、太陽光発電システムで電力を得るとともに、生活上で生じるさまざまな廃棄物を農業の肥料などの形で再利用することでエネルギーを循環させる持続可能な環境を提案しています。講評会では、縦孔の内部を使うことで大気のない空間で居住者の安全性を確保している点や、地球上とは異なる環境をポジティブにとらえた独自性の高い提案になっていることなどが評価されました。
学生たちは、「デザインなどのコンセプトと現実空間での制約のバランスのとり方が、建築を設計するうえで大切だとあらためて学びました。設計の楽しさや魅力を再発見する機会にもなりました」(山田さん)、「農作物や宇宙に関することなど、このプロジェクトに参加しなければ得られなかった知識を手に入れるとともに、グループで一つの作品を作り上げる難しさを学ぶ機会にもなりました」(細井さん)、「宇宙建築賞ではアイデアを発想する力が重視されている点が、一般的な設計賞とは違うと感じました。まだ実現してないけれど、あると人のためになるものを考えていくことは建築家にとって重要なこと。その力をつけるトレーニングになったと思います」(笹川さん)、「日本のコンペに初めて参加しましたが、コンペの方法を学ぶことができました。特にビジュアル面を担当したのですが、生活や農業などさまざまな要素がミックスされた提案をまとめていく作業はとても楽しく、よい経験になりました」(チタトーンさん)と話していました。