工学研究科修士2年次生の梶木さんが「2022年度AICE Award」を受賞しました

大学院工学研究科修士2年次生の梶木碩介さん(指導教員=落合成行教授、畔津昭彦教授)が「2022年度AICE Award」を受賞しました。自動車用内燃機関技術研究組合(AICE)は、2014年に日本の自動車メーカー9社と2団体で構成され、産学官連携を通した日本の技術力の強化と次世代をリードする人材の育成を目指しています。同賞は、AICEの組合会員である自動車メーカーが高く評価した研究に贈られるもので、学生が実施した研究成果を評価する「成果表彰」と成果創出に向けた研究を評価する「活動表彰」に区分されています。梶木さんは成果表彰を受賞し、3月6日にオンラインで開かれた授賞式で研究成果を発表しました。

梶木さんの研究テーマは、「ジャーナル軸受におけるフォトクロミズム可視化手法を用いたマイクロバブル周りの油膜挙動観察」です。畔津教授が開発した機械内部の油の流れを可視化する「フォトクロミズム」を用いて、自動車のターボチャージャーの回転部などに使われる「ジャーナル軸受」の潤滑油に含まれる小さな気泡「マイクロバブル」の油膜挙動を可視化しました。実験では、YAGレーザーや二分岐光学系などを用いて軸回転数の異なる複数のパターンの油膜挙動を観察し、マイクロバブルが楕円形状に延伸しながら軸回転速度の半分程度の速さで流動していることを確認。また、マイクロバブルの下流側に着色した際には、前端から流れ方向に濃い吸光度の筋状の流れを確認し、それが自転によるものだと考察しました。さらに、CFD解析でも同様の流れを確認できたことから、マイクロバブル周りの油膜挙動のモデル化に資する結果も得ることに成功しました。梶木さんは、「多くの企業も参加している学術団体から、研究を評価していただけたことをうれしく思います。今回の受賞は、落合先生や畔津先生、研究室の仲間など多くの方に支えていただいたからこその結果だと感じています。この研究はまだ完結していないので、後輩が引き継いで更なる発展につなげてくれることを期待しています。4月からは自動車業界の開発職として働く予定なので、大学で学んできた知識を生かしていきたい」と話していました。

指導にあたった落合教授は、「新型コロナ禍で研究ができない期間があったものの、その時間を挽回するかのように取り組んでいた姿が印象的でした。私たちのこれまでの研究や同期の研究などに関心を持ち、さまざまな側面から考えることができる梶木君だからこそ、AICEの研究者から興味を示してもらえたと感じています」と振り返り、畔津教授は、「フォトクロミズムで広範囲を可視化する研究はしてきましたが、今回のように狭い場所を具体的に見るのはさまざまな技術や細かな微調整が必要とされます。多くの苦労の末、成し遂げた研究成果が評価されてうれしい」と話していました。