「戦争体験から考える」をテーマにオープンセミナーを開催しました

教養学部人間環境学科社会環境課程では、6月3日に湘南キャンパスで社会環境オープンセミナー「戦争体験から進路?自由?平和を考える」を開催しました。 これは、日本とアジアの共生や教育のあり方、自由と命の大切さを戦争体験から見つめ直すことを目的に毎年開催しているものです。今回は中国戦線出征を体験 した小島康次氏を講師にお招きし、学生や教職員約60名が聴講しました。

講演に先立ち本課程の鳥飼行博教授が、「今の日本を考えるにあたり、過去の戦争をどう捉えるかというのは大切なテーマです。戦争体験者の思いを聞く機会は だんだんと少なくなっていますが、今日は小島さんの生の声を通して、戦争とはどのようなものだったのかを皆さんに知ってもらいたい。また、貴重な体験談を 自分自身の進路の参考にしてください」とあいさつしました。

92歳の小島氏は小学校卒業後に商店勤務を経て、茨城県の内原訓練所で軍事教練を受け、満州建国義勇隊に参加。1942年に中国へ出征し、陸軍輸送部隊 (輜重部隊)の一員として1945年まで戦った自身の経歴を話しました。数々の戦いに従いながら中国大陸を移動した進軍行路を地図で指し示し、「私たちの 小隊は60名。前線部隊ではなく後方支援の任務であったため、自衛力はありません。常に危険にさらされながら進んで行きました」と説明。勝ち戦から次第に 負け戦となっていった当時の戦況を伝えました。また物質が不足し、敵機が上空を飛ぶ中で危険を冒して野草を摘んだことや、住民と良好な関係を築くための宣 撫活動では薬の代わりに歯磨き粉を塗って傷を治したことなど従軍生活での苦労話を披露。中国で終戦を迎えて日本に帰国し、生きて我が家に帰ったときの母親 との再会の様子も語りました。

激烈な戦争を生き残った小島氏は、「こういった苦しみを経験したからこそ、今を生きている喜びを感じています。すべてのものに感謝したい」と語り、「戦争 は絶対に起こしてはなりません。今日の平和を若い皆さんの力で長く続けてほしい。それが私たちの願いです。祖国の平和とアジアの秩序をどうか守ってくださ い」と平和の尊さを訴えました。

参加した学生からは、「平和を守りたいという小島さんの思いが伝わりました。今、日本は憲法改正の問題などで揺れていますが、私たちの手で平和を維持しな くてはいけないと強く思いました」「満州国建設の話など、とても勉強になりました。若い世代が戦争の話に触れる機会がもっと増えることを願います」などの 感想が寄せられました。

「戦争体験から考える」をテーマにオープンセミナーを開催しました