教養学部芸術学科デザイン学課程4年次生の永井結子さんが参加する社会人混合チームがこのほど、Googleによる新デバイスのアイデアコンテスト「Android Experiments OBJECT」でグランプリを獲得。2月の展示会に向けて専門家の支援を受けながら試作品の開発に取り組んでいます。このコンテストは、Android スマートフォンとつながることで世界がもっと便利に楽しくなるようなデバイス(機器?装置)を作る新しいプロジェクトで、日本中からアイデアが募集されたものです。200件を越える応募があり、永井さんの参加するTEAMminedチームがグランプリ4作品の内の一点に選ばれました。
永井さんらが提案したのは、電車内で立っているのがつらい妊婦と、それを助けたいと思っている人をつなげる「スマート?マタニティマーク」。半径2mに信号を発信する「Beacon」が内蔵されたスマート?マタニティマークのスイッチを入れると、アプリをインストールしているAndroidスマートフォンに通知が届きます。電車内で席を譲ってあげたいと思ったら自分が座っている席の場所を送信します。お互いのプロフィルやこれまでの利用履歴?他者からの評価も確認できるため、安心して使うことができます。永井さんは、「従来のマタニティマークは妊婦さんが交通機関などを利用する際に身につけ、周囲に妊婦であることを示しやすくするものですが、インターネットでマタニティマークと検索すると“嫌がらせ”“怖い”といった検索候補が出てきます。またある調査では、マタニティマークをつけている人に席を譲るのは当たり前と考える人は90%に上るものの、実際に譲ってもらったことがある人は30%に達していないという結果もあります。そこでワークショップデザイナーのタキザワケイタさんの呼びかけで、エンジニアやデザイナーらが集まり、妊婦さんが安心して暮らせる社会にできるデバイスを作れないかと話し合いました」と振り返ります。チームでは「優しさの見える化」「優しさから優しさが生まれる社会に」をテーマに何度もワークショップを開いて意見を出し合い、永井さんは討論の内容をイラストと文字でリアルタイムにまとめていくグラフィックレコーディングも担当しました。
永井さんは、「これまでにも学内外のワークショップに参加したり、グラフィックレコーディングを担当したりしたことはありますが、コンペに応募するのは今回が初めてでした。目標に向かってゼロから考え、形にしていく過程はとても勉強になりましたし、メンバーからグラフィックレコーディングがわかりやすかったと言ってもらえてうれしかったです」と語りました。リーダーのタキザワさんは、「永井さんのグラフィックレコーディングによって、俯瞰的かつ本質的な議論を行うことができ、プロジェクトの推進に大きく貢献してくれました」と話しています。