教養学部人間環境学科自然環境課程では、2月5日に湘南キャンパスで「湘南里川づくりフォーラム2017~金目川水系の今後~」を開催しました。本課程の藤野裕弘教授が会長を務める「湘南里川づくりみんなの会」の主催で毎年実施しているイベントで、「湘南里川づくり」について広く知ってもらい、参加者間の交流を図ることが目的。文部科学省の平成25年度「地(知)の拠点整備事業」の採択を受けて取り組んでいる「To-Collaboプログラム」の大学推進プロジェクト「エコ?コンシャス計画 環境保全事業」の一環で実施し、学生や地域住民ら161人が参加しました。
はじめに、北九州で活動する任意団体「魚部」代表の井上大輔氏が「場を作り、野に出て、人に伝える『魚部(ぎょぶ)』という取り組み~高校の部活から、どこの誰でも参加できる『市民のブカツ』的存在~」と題して基調講演。現在、北海道から沖縄までプロアマ問わず250名の生物好きが籍を置き、観察会や交流会、展示会などを行っている魚部について紹介し、「もともとは教鞭を取っていた北九州高校の文化祭で『紫川の魚展』を開催したことをきっかけに活動を始めました。福岡県内の川や池、干潟にはどのような生物がいるのか調査し、『紫川大図鑑』をはじめ5冊の本をつくりました」と振り返りました。井上氏の異動をきっかけに、”場を作り、野に出て、人に伝える”任意団体として現在の市民参加型の魚部がスタートしたと語り、「”他世代の学びあいの場”として展示会や観察会のほか、ギョブマガジン『ぎょぶる』を年3回発行しており、これまで口永良部島や宮古島、種子島の生き物について特集してきました。今後も日本各地を魚部視点で取り上げ、地元の人たちにもあらためてそこに住む生き物について知ってもらいたいと考えています」と語りました。
続いて「金目川水系が目指す里川らしさ」「金目川水系の生物の現状~金目川本流上流域~」「祭りが与える影響~里川と地域活性化~」「金目川水系における地域コミュニティ醸成~親水性を高めるためには~」の4教室に分かれて分科会を実施しました。藤野教授の研究室の学生たちも里川に関する卒業研究の成果を発表し、活発な意見交換が行われました。また同時刻には特別企画として、本課程の藤吉正明准教授の研究室に所属する学生や卒業生が「里遊び体験」も開き、大人から子どもまで参加者が藍染や糸作りを体験しました。その後、全体で分科会成果報告会を行い、全体意見交換会として「金目川水系の今後」について意見が交わされました。参加者からは、水質汚染や川に生息する生物についての質問があったほか、「金目川水系で活動する団体が協力し、清掃活動をしたり、ミニフォーラムや勉強会を開いたりしてはどうか」といった声が上がり、賛同する声も多く聞かれました。最後に藤野教授が、「さまざまな意見や質問が出て、金目川水系や里川について考えるいい機会になったと思います。来年以降も続けていきたい」とあいさつしました。