九州キャンパス(熊本、阿蘇両キャンパス)では、8月26日に熊本市内のKKRホテル熊本で開催された「第1回医工連携マッチングセミナー~ものづくり技 術が医療?介護の現場を変える~」(主催=熊本県、熊本市、一般社団法人熊本県工業連合会)を共催しました。少子高齢化が進み、医療費の増大や介護者の高 齢化といった問題が深刻化する中、医療や介護の現場では、日本が誇る「ものづくり技術」を生かした機械、システム、工具などの開発?実用化が図られていま す。一方でこれらの製品には改良すべき点もあり、現場のニーズが的確に反映されていないといった課題も山積しています。今回のセミナーは、それらの課題、 要望を明らかにし、「使えるものづくり」を実現するための「マッチング」を進めようというものです。
本キャンパスでは、本学が2013年度に文部科学省「地(知)の拠点整備事業」の採択を受けた「To-Collaboプログラムによる全国連動型地域連携 の提案」の取り組みを推進するにあたって、熊本県商工観光労働部と7月に包括協定を締結しており、阿蘇の農学部と昨年4月に新設された熊本の経営学部と基 盤工学部が医療福祉、食品、エネルギー、観光などの各分野で、専門の教員が技術指導にあたるほか各種セミナーに講師を派遣するなど、地場企業の新製品開発 などを後押しする計画を推進。今回のセミナー共催もその活動の一環です。
熊本県内でものづくりにかかわる企業や医療関係者ら約150名が出席した当日は、シップヘルスケアホールディングス(株)グループ統括室の西謙一氏による 基調講演「医療機器?医療サービス産業へのマーケットインによる新規参入」が行われたほか、「医療現場に必要なもの」と題したパネルディスカッションを実 施。基盤工学部医療福祉工学科の佐藤綾助教がパネリストの一人として登壇し、同じく医療福祉工学科の岩橋正國教授がコーディネーターを務めました。佐藤助 教は、「医工連携における大学の役割」をテーマに、医療現場と企業の橋渡しを務めるコーディネーターとしての役割や人材育成、共同研究の推進について大学 の取り組みを紹介。医療側と企業側における用語の違いや現場のニーズと異なる製品開発の状況について解説しながら、「臨床工学技士は医療と企業をつなぐ存 在として、工学的知識?技術を医療に適用し、安全、信頼を確保するスペシャリストであるがゆえにその担う役割は大きく、医工連携の推進に必要不可欠な存 在。大学は学生への教育を通じて医工連携の重要性を理解し、推進することのできる人材の育成に努めていく」と語りました。
その後行われたセミナー講演者や参加者の交流会には、中嶋卓雄学長補佐(九州キャンパス担当)をはじめ教職員も多数出席。自治体はもとより産業界や医療業界が求める人材像や、技術開発について活発に意見を交換しました。