大学院生がベトナムで未知種と考えられるクラゲを発見しました

大学院生物科学研究科博士課程の飯田茜さん(指導教員=西川淳教授)がこのほど、ベトナムで未知種と考えられるクラゲを発見しました。西川教授の研究室では、東南アジア諸国から清水キャンパスの面している駿河湾といった国内外のさまざまな海域を対象に、クラゲをはじめとしたゼラチン質動物プランクトンの分類や多様性などについて研究しています。飯田さんは2018年と19年にベトナムのニャチャンやハイフォンで、現地の研究者や漁業関係者とともにクラゲを採取。国内で遺伝子解析などを続け、その成果をまとめた論文を5月27日に、日本プランクトン学会と日本ベントス学会が発行する国際学術雑誌「Plankton and Benthos Research」で公表しました。

今回飯田さんが発見したクラゲは、ヒドロ虫綱のBlackfordia属の一種で、世界各地で繁殖が確認されている移入種として知られています。同種は現在B. manhattensis、B. virginica、B. polytentaculataの3種によって構成されており、これらは生殖腺の位置と形状、縁辺触手数、傘縁の黒点の有無によって区別されています。飯田さんは、ベトナムで初めて本属のクラゲの出現を確認。その個体の形態学的解析を行ったところ、触手数はこれまで報告されている種のどれとも一致せず、また、文献調査により同数の触手数を持つ個体はブラジルやメキシコ、インドでB.virginicaとして記録されていたことが判明しました。さらに、ミトコンドリアDNAを用いた分子系統解析の結果により、ベトナムのBlackfordiaは、ブラジルの種と遺伝的に同じ起源を持っていることや、他地域のB. virginicaとは遺伝的に異なることもわかりました。これらのことから、飯田さんは今回ベトナムで発見されたBlackfordiaが未知の種である可能性が示唆されるとまとめています。

飯田さんは、「触手数の差異がわかってからは、ワクワクしながら研究を続けてきました。bet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户感染症の拡大を受け、国外でのサンプル採集ができない期間が続き、もどかしい気持ちもありますが、今後も分析を続けて新種として発表できるよう努力していきたい」と語り、西川教授は、「現地でのフィールドワークで活発に活動している姿がとても印象的でした。現在、ベトナムの関係者らとサンプル個体の提供について準備を進めており、今後さらなる研究成果が発表できると期待しています」と話しています。