医学部医学科の梅澤和夫准教授(外科学系救命救急医学)が、富士フイルム株式会社と共同で進めていた同社製環境清拭材「Hydro Ag+(ハイドロエージープラス)アルコールクロス/スプレー」の学校内における環境消毒の有用性に関する研究成果が、このほど発表されました。同製品を用いた環境消毒により、インフルエンザの集団感染の抑制が期待されます。
「Hydro Ag+」は、銀系抗菌剤と超親水ポリマーを含有した環境清拭材で、消毒用アルコールの蒸発後も長時間にわたって微生物の増殖が抑制され、除菌効果が持続することが特徴です。本研究は神奈川県内の公立中学12校の協力を得て2018年11月から19年3月に実施。同製品で机や椅子、ドアの取っ手、階段の手すり、トイレの座面など高頻度に接触する部分を清拭した結果、生徒のインフルエンザ罹患率が減少し、学級閉鎖が発生しないとの結果が得られました。
梅澤准教授らは本研究に先がけ、16年6月から2年間にわたり、同製品の基礎的な性能評価や、医学部付属病院病棟内におけるキーボードカバーの拭き上げ消毒といった環境消毒での臨床評価にも取り組んできました。梅澤准教授は、「室内空気の細菌汚染やデータ解析について、本学理学部化学科の関根嘉香教授や同数学科の山本義郎教授にも協力していただきました。医学、理学分野と産業界との連携の成果が出てうれしく思います。今後も多様な分野と協力し、社会に貢献できる研究を進めたい」と話しています。