医学部医学科基礎医学系分子生命科学領域の中川草准教授(総合医学研究所/マイクロ?ナノ研究開発センター)が、2月27日にタイ?バンコクで開催された「ASEAN-Japan Consortium on Nanopore and Emerging Technologies」のシンポジウムで招待講演を行いました。このコンソーシアムは、アセアン諸国と日本の研究者によるナノポア(超微細孔)技術を活用した研究コミュニティーを構築して先進的なプロジェクトを推進するため、タイの国立ナノテクノロジーセンター(NANOTEC)が立ち上げたものです。シンポジウムでは7カ国10名の研究者が講演。多くの研究者らが聴講しました。
本学とNANOTECは2022年から共同研究を視野に入れた交流を続けています。同年12月には、学長室?国際担当の山口滋部長(理学部物理学科教授)とマイクロ?ナノ研究開発センター(MNTC)の喜多理王所長(同)がNANOTECを視察して情報を交換しました。翌23年2月にはNANOTECのエクゼクティブ?ディレクターらが湘南キャンパスを訪問し、MNTCやイメージング研究センターを見学。両機関や先進生命科学研究所の研究者らと意見を交わし、中川准教授もナノポア技術を用いた自身の研究を紹介しました。
シンポジウムでは、タイをはじめ、シンガポール、マレーシア、ベトナムなどの研究者が、ナノポア技術に関する基礎?応用研究や、同技術が社会に与えるインパクトなどを報告。比較ゲノム解析が専門の中川准教授は、「Bioinformatics pipeline for nanopore sequencing data analyses for infectious diseases」をテーマに、ナノポアDNAシークエンサーを活用した感染症に関する研究事例や、データを解析するためのパイプラインについて解説しました。シンポジウムの翌日には、講演者がバンコク北方にあるNANOTECを視察。それぞれが所属する研究機関の特徴や展開している研究を紹介し、ディスカッションしました。
中川准教授は、「東南アジアにおけるナノテクノロジー関連の先端研究やNANOTECの取り組みを知るとともに、MNTCや総合医学研究所をアピールする機会にもなりました。アセアン諸国の研究者と知り合い、私個人も共同研究を開始することができたので、今後は本学とNANOTECを含めた、さまざまなアセアン諸国の大学?研究機関とのさらなる国際交流にもつなげていきたい」と話しています。