スポーツ医科学研究所の小山孟志講師が執筆した論文「Acceleration Profile of High-intensity Movements in Basketball Game(バスケットボール競技における高強度動作の加速度プロファイル)」が今年7月、スポーツ科学の国際ジャーナル『Journal of Strength and Conditioning Research』のWEB版に掲載されました。バスケの試合において高い加速度を要する動きを調査したもので、トレーニングやコンディション管理の指標として提案しています。
小山講師は本学大学院体育学研究科を修了後、日本バスケットボール協会やトップリーグの日立サンロッカーズ(現:Bリーグ?サンロッカーズ渋谷)でストレングス&コンディショニングコーチを務める中で、日本人の選手がコンタクトプレーで劣勢になることが多い点に着目。フィジカル面を強化するトレーニングを導入するにあたり、試合における各プレーの強度を分析しようと、本学に着任した2014年度から調査を開始しました。本調査では、小山講師がコーチを務める男子バスケ部の選手たちが試合中にGPSを装着し、同期したビデオ映像から試合における動作一つひとつにかかる加速度を測定。減速、着地、身体接触の3動作で高加速度が出現することを明らかにしました。
小山講師は、「これまでどういったプレーが体にダメージを与えるかという研究は取り組まれてきませんでした。強化すべき動きやプレーについて、科学的根拠を示すことで選手や指導者の理解も深まります」と研究の意義を語ります。また、「結果的にこれらの高加速度動作はバスケで多いけがの受傷機転とも一致しました。けがを防止することで、長く競技を続けられる可能性が高まります。今後も臨床研究を続け、選手のキャリアハイを更新するサポートをしていきたい」と話しています。