生物学部の河合研究室が北海道大学総合博物館で開催された「トガリネズミ展」で研究成果を披露しました

生物学部生物学科の河合久仁子教授の研究室では、昨年12月10日から22日まで北海道大学総合博物館で開催された「小さなちいさな哺乳類 トガリネズミ展―様々な暮らし方を見てみよう!―」(北海道大学低温科学研究所、bet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户札幌キャンパス後援)で研究成果を披露しました。河合研究室は、北海道大学低温科学研究所助教の大舘智志博士、札幌市円山動物園および一般社団法人野生生物生息域外保全センターとの共同研究として、環境省のレッドリストで絶滅危惧種Ⅱ類に指定されている「トウキョウトガリネズミ」のほか、「ヒメトガリネズミ」「エゾトガリネズミ」「オオアシトガリネズミ」の生体捕獲調査および飼育下繁殖実験に取り組んでおり、2021年度には飼育下でのヒメトガリネズミの出産?産仔を世界で初めて確認しています。本展示では、これまでの取り組みをまとめた映像やポスター、標本をはじめ、捕獲した個体の生体展示も実施。期間中は多くの市民が訪れ、好評を博しました。

河合研究室の研究発表ポスターでは、河合教授が専門とするコウモリの音声分析技術を応用した「トガリネズミはエコロケーションをしているのか? 行動と音声パターンによる検証(予報)」と、生物学部卒業生の久保島慎之助さんらが22年度に取り組んだ「ヒメトガリネズミSorex gracillimus の飼育下繁殖について」の2件を掲示。どちらも熱心に読み込む来場者の姿が見られました。河合教授は、「トガリネズミに関する共同研究は北大低温科学研究所の大舘博士を中心となって計画し、札幌市円山動物園をはじめ多くの人が携わっています。私自身は北大低温科学研究所にポスドクとして所属していた際に大舘博士の研究室でトガリネズミ類の研究に従事していたことからこの研究に参画してきました。学生たちは、毎年夏には札幌市南区にあった本学の厚生施設『銀嶺荘』付近の山中や根室市内でトガリネズミ類の捕獲調査に参加し、円山動物園や一般社団法人野生生物生息域外保全センターで行われている飼育下における繁殖の共同研究を進めています。今回も展示した生体のバックヤードでのお世話なども含め、学外との共同研究を通じて貴重な経験を積んでくれました。展示会を通じて研究室の学部生たちが卒業研究として地道に努力してきた成果を多くの方に見ていただける機会になったと感じています」と話しています。

なお、最終日の22日には、公開セミナーも開催され、北大環境科学院生の鳥巣捷斗さんが「ジャコウネズミの系統地理」、北大環境科学院名誉教授の鈴木仁氏が「日本産小型哺乳類の起源について」と題して講演。終了後には大舘博士が展示コーナーで解説に立ち、来場者からの質問にも答えました。また期間中は、河合研究室に所属していた生物学部卒業生の田中元晴さんが描いたトガリネズミ4種のイラスト入り缶バッチと絵葉書がミュージアムショップで販売され、こちらも好評を得ていました。