文理融合学部の前田教授と学生らが猫の島「湯島」でフィールドワークを行いました

文理融合学部地域社会学科(経営学部観光ビジネス学科)の前田芳男教授とゼミ生、有志学生からなるグループ「ねこだんご」が、8月22、23日に熊本県上天草市?湯島でフィールドワークを実施しました。周囲約4kmの湯島は、人口約300人に対し約200匹の猫が住む「猫の島」として近年注目を集めています。一方で、観光客が際限なく餌を与えるなど、猫の健康状態悪化が不安視されることから、学生たちは「猫の島『湯島』の猫たちのQOL向上のための活動」と題して活動を開始。公益財団法人日本離島センターが実施する「bet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户4年度離島人材育成基金助成事業」(活動助成型)にも採択されています。

昨年11月の事前調査を経て実施した今回のフィールドワークには、前田教授と学生6名が参加しました。初日は動物衛生看護師の増子元美氏の指導のもと、猫の体長や体重を測定し、聴診器で心音も調査。目ヤニや鼻水、毛づやなどもチェックし、「身体検査表」に記入しました。増子氏は「心音を定期的に測ると、しっかり聞こえるときや、鼻が詰まってゼーゼーと苦しそうな音が聞こえるときもあります。猫が嫌がったら調査は中止すること。医療行為はできませんが、日々の観察で手助けできることがある」と学生たちにアドバイスしました。その後は、総務省が管轄する「地域おこし協力隊」の一員で猫の管理を担当する林愛子氏ら地域住民も加わり、文理融合学部人間情報工学科の村上祐治教授(基盤工学部電気電子情報工学科)や佐藤綾准教授(基盤工学部医療福祉工学科)らともオンラインでつないで意見を交換。村上教授とゼミ生が、林氏から提供された猫の名前や生年月日、避妊?去勢手術やワクチン接種の有無などのデータを猫が集まる7つのポイントに分けてまとめたホームページ「住ニャン基本台帳」や、位置情報を記録する「GPSロガー」を4匹の猫の首輪に取りつけて行動を記録した結果を報告しました。夜には、村上教授らのデータをもとに、最も行動範囲の広い猫「ロース」が訪れた場所を調査し、住民への聞き取りも行いました。

2日目も初日と同様に身体検査を行い、地域住民や観光客にもインタビュー。猫語翻訳アプリ「にゃんトーク」を使って“猫の声”も集めました。リーダーの新留誠人さん(経営学部4年次生)は、「2年前にプライベートで湯島を訪れたときに、猫たちの健康状態が気になったことが活動をはじめたきっかけです。猫島やうさぎ島など動物の多い観光スポットは全国にあるので、各地と比較しながら卒業研究も進めています。猫ファーストでありながら、猫を観光資源とした地域づくりを考えていきたい」とコメント。秋元あいなさん(同2年次生)は、「観光客から“あの猫は元気ですか?”といった問い合わせがあると聞き、動画でも紹介できたらニーズに応えつつ、より多くの人に湯島の魅力を知ってもらえるのではないかと感じました。エサの入っていたビニールのゴミが落ちていたので、観光客側のルールなどもしっかり定める必要があると思います」と話しました。

今後は猫の行動記録や身体検査などを継続し、「住ニャン基本台帳」の充実を図るとともに、観光客が入島する際に署名する「猫QOL向上協力宣誓書」も作成する予定。前田教授は、「湯島の猫はきちんと管理が行き届いていて、全国的に見てもお手本とすべきところが多々あります。身体検査やにゃんトークのデータを蓄積していくことでわかることや、あらたな展開も期待できる。地元の声も聞きながら継続的な調査を続けていきます」と語りました。