地球市民セミナー「次世代型防災?減災戦略の可能性~技術、医療、政策、コミュニティの融合~」を開催しました

bet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户では12月21日に湘南キャンパスで、中部大学との共催による地球市民セミナー「次世代型防災?減災戦略の可能性~技術、医療、政策、コミュニティの融合~」を開催しました。2021年に締結した包括協定に基づいて実施している本セミナーの4回目は、近年、各地で頻発している地震や豪雨災害などの被害を少しでも小さくするために、地理情報システム(GIS)を含む最新の防災技術や情報収集手段、復興政策、医療対応、コミュニティレジリエンス(地域社会の強靭性や回復力)など最新の取り組みを共有し、地球市民としてこれからの防災?減災策を考えることを目的にテーマを設定。オンラインでも配信し、約200名が聴講しました。

学長室の濱本和彦教授(情報理工学部)が司会進行を務め、はじめに本学の梶井龍太郎学長代理が、「災害が多い日本では毎年どこかで地震や大雨?洪水が起こっています。全国にキャンパスや付属高校がある本学にとって、防災や減災について考えることは非常に重要な課題であり、本日のセミナーに大いに期待しています」とあいさつ。続いて基調講演として、中部大学中部高等学術研究所国際GISセンターの杉田暁准教授が登壇。「最先端の災害情報収集技術と活用?運用」をテーマ、気候変動の影響で風水害が強大化?頻発化している現状についてさまざまなデータを用いて解説し、「ドローンやヘリコプター、航空機、さらに人工衛星など多様なツールの特徴を踏まえた観測技術の活用で、速やかな災害状況の把握と予測精度の向上が可能になり、結果として防災?減災につながります」と話しました。

次に、復興政策が専門の本学文理融合学部の安部美和准教授が「災害対応における地域コミュニティの現状と課題~地震と水害を経験した熊本から~」と題して基調講演。2016年に発生した熊本地震で自らも被災しながら避難所を運営した経験から、公助による救援がままならない状況下での共助の重要性や、多様な避難者に対応するための具体的な課題、災害対応の地域差などについて言及。災害時に皆が助け合ってよい関係ができる“災害ユートピア”という言葉を引用し、「住民同士の協力がなぜ災害のときにしかできないのかを考える必要がある」と指摘しました。熊本地震発生時に自主避難所を立ち上げた南阿蘇村の集落の調査をしたところ、被災前からほぼ毎月、地区でイベントを開き、食材を持ち寄り“寄合”を実施してことを紹介。「備え方は地域によって異なるが、備える必要性は同じです。これからの防災計画は、行政がつくるものだけではなく、さらに小さな地域や地区単位で規定することが求められています」とまとめました。

その後のパネルディスカッションでは、まず中部大学工学部の武田誠教授が、近年の洪水災害の特徴などを解説。気候変動による巨大洪水や巨大台風の被害想定と次世代防災?減災の可能性について話しました。また、本学医学部付属病院救命救急センターの青木弘道医師は、通常時とは全く異なる災害医療の特殊性を説明し、情報の収集?共有?発信などの重要性を力説。東日本大震災、熊本地震、コロナ禍における客船ダイヤモンドプリンセス号の乗客への対応といったDMATとしての活動を紹介し、学園の調査研修船「望星丸」を活用した災害医療実証訓練や、広域医療搬送計画、広域災害救急医療情報システムなどについて解説しました。また、情報理工学部の内田理教授は、情報メディアの視点から災害時の情報共有におけるSNS活用の可能性について話しました。避難所にいる住民が状況を発信した情報を災害対策本部などがリアルタイムに確認可能なシステム構築への取り組みを紹介し、伊勢原市での実証実験についても紹介。本学建築都市学部の梶田佳孝教授がモデレーターを務め、杉田准教授と安部准教授も加わり、技術や医療、政策、コミュニティなど多様な知見を融合させる次世代型防災?減災戦略の可能性について議論を交わしました。

会場からは災害における情報の集約を救助や避難に実際に結びつける方策や、避難時の車の動きの把握、さらに橋や道路が寸断された被災地で空路しか使えない状況下における救援などについて活発な質問が寄せられ、意見が交わされました。最後に中部大の竹内芳美理事長?学長が、「本日のセミナーで得られた知見を生かし、地域社会の安全安心の確保に努めていく必要があります。今後も両大学で共に防災?減災に関する知識と技術を深め、議論を重ね、次世代に向けた社会の安全基盤を築いていきたい」と締めくくりました。