高輪校舎で12月3日に、「2022年度bet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户情報通信学部公開セミナー~社会を支える未来の宇宙通信ネットワーク~」を実施しました。通信ネットワークは、有線や無線などさまざまな方式が組み合わさって構成されており、中でも衛星通信は宇宙空間を利用していることからサービスエリアが広範囲で災害に強く、重要な役割を担っています。今回のセミナーでは、衛星通信の高速化に取り組む国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)とスカパーJSAT株式会社の担当者を講師に招き、最先端の開発状況や今後の展望について講演いただきました。当日は、本学の学生や教職員、一般来場者ら多方面より数多くの方が参加しました。
当日は、はじめにJAXA研究開発部門第一研究ユニットに務める向井達也氏が、「宇宙と地上を直接繋ぐ光による高速通信の実現~JAXA研究開発の取り組みと展望~」と題して講演。自身が取り組んできた光通信衛星の研究開発や宇宙空間との通信方法について紹介し、「宇宙空間をフライトする人工衛星や探査機のミッション運用を支える多くの地上局を世界中に展開し、相互に連携した運用をしているのがJAXAです。これまで巨大なパラボラアンテナを用いて地上と宇宙をつないでいましたが、新たな技術として光学望遠鏡による光通信を加えたミッション運用の高速化を目指す研究開発を進めています」と話しました。続いて、光による高速通信の実現に向けてJAXA が取り組む研究開発について解説するとともに、基礎実験や現時点での運用内容、人工衛星とやり取りする追跡管制について紹介。最後に、今後の課題について、「大気や雲の影響だけでなく、光レーザーは航空機のフライトに影響を与えてしまうため、送信を中断しなくてはならないこともあります。雲や飛行機の位置情報を確認して運用する方法も徐々に確立されてきているので、課題を解決して大容量かつ高速通信の実現を目指して研究開発を続けていきます」と語りました。
続いて、スカパーJSAT株式会社宇宙事業部門宇宙技術本部通信システム技術部の田熊元氏が「衛星通信ネットワークの過去?現在?未来~民間衛星通信事業者としての取り組みと展望~」をテーマに講演し、スカパーJSAT の取り組みを紹介。静止衛星通信の仕組みや歴史を説明し、「赤道上空36000kmの円軌道を『静止軌道』と呼び、衛星が地球を周回する円運動の周期と地球の自転周期が一致して地上からは止まっている見えるため『静止衛星』と呼ばれています。静止衛星通信は、地上災害に左右されないことや広域性などが特徴です。電波は送受信アンテナと増幅器によって地上と宇宙の間を旅して各家庭や施設に届けられます」と語った後、通信ネットワークの未来について話し、「従来より大容量の通信サービスの展開に向けて光通信の研究開発?事業化を検討しています。また、地上のネットワ-クと、静止衛星や低軌道衛星、高高度無人機など非地上のさまざまな通信手段を組み合わせた多層的統合ネットワークが社会実装される未来が考えられます。宇宙業界でも具体的な取り組みが動き出しています」とまとめました。