海洋学部海洋理工学科海洋理工学専攻の脇田和美教授がこのほど、日本海洋工学会の「JAMSTEC中西賞」を受賞しました。同賞は海洋工学研究の連合体である同学会が、加盟9学会の中から優れた功績を残した研究者に授与しているものです。脇田教授はbet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户3年度に日本沿岸域学会で、自身の研究論文「貝毒発生時の潮干狩り場における食の安全対策とその意義~大阪府内での取り組みと新聞報道から~」が論文賞を受賞(沿岸域学会誌2020年12月号掲載)。その後、同学会からの推薦を受け、海洋環境の理解に貢献する研究として高く評価され、今回の受賞に至りました。1月26日には、オンラインで開かれた「第54回海洋工学パネル講演会」のプログラムの1つである「2022年度JAMSTEC中西賞 受賞特別講演」で研究成果を発表しました。
論文では夏に全国で行われているレジャーで、漁業協同組合の重要な収入源となっている潮干狩りに着目。近年、有毒なプランクトンを食べたアサリなどの二枚貝が体内に麻痺性の毒を有するケースが、より多くの地域で確認されており、自治体による貝毒検査の結果で規制値を超えると、一時的に潮干狩り場を閉鎖せざるを得ない所も出てきています。その一方、大阪府内の潮干狩り場では規制値を超えている状況でも、場内で採った貝を出口にて検査済みの無毒の貝に交換するという安全対策を講じることにより、開場を可能にしていました。脇田教授は食の安全確保や運営実態を明らかにするため、二色の浜潮干狩り場と淡輪潮干狩り場の運営主体へのインタビュー調査を実施。貝を交換する方法が成立した経緯を明らかにするとともに、新聞報道での取り上げ方や文章量などから社会受容性を分析しました。
脇田教授は、「複数の学会で研究成果を評価していただき、驚くとともに大変うれしく思います。さまざまな側面から調査したことで初めて知る実態や背景があり、私自身も学びのある研究でした」と振り返り、「沿岸水産資源の持続可能な利用の在り方に向けて、潮干狩り場の来場者の評価を把握するとともに、他の地域でも展開する場合の資源保全や外部調達による外来生物混入問題、収益への留意について考えていく必要があります。また、海外では麻痺性貝毒で亡くなる事案もあるので、国外の貝毒による健康被害の軽減に資するような研究も行っていきたい」と今後の展望を語っています。