湘南キャンパスで10月4日、国際連合大学の学長であるチリツィ?マルワラ氏による特別講演「AI and Attainment of SDGs 持続可能な社会を築くためにAIはどのような役割を果たせるのか」を開催しました。本学では、国連が17のゴール?169のターゲットから構成した持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)達成に向けたさまざまな活動を展開しており、国連大学サステイナビリティ高等研究所が中心となり、SDGsの達成に向けて積極的に取り組む意欲のある日本の大学が連携できる場として2020年に設立した「国連大学SDG大学連携プラットフォーム(SDG-UP)サティフィケート?プログラム(パイロット事業)」にも参画。教養講座「国連SDGs入門」の授業も担当しています。
今回の特別講演は、南アフリカ共和国出身の人工知能エンジニアでコンピューター?サイエンティスト、機械技術者でもあるマルワラ氏から、SDGs達成に向けた人口知能(AI)の果たす役割について学ぶ機会として企画したもので、学生や教職員約350名が参加しました。司会進行を務めたスチューデントアチーブメントセンターの二ノ宮リムさち教授の紹介に続いて登壇したマルワラ氏は、まず自らの経歴とAI技術の進化の過程、SDGsに掲げられた17のゴールの達成状況などを解説し、「世界平和の実現は若い皆さん次第であり、社会でどのような立場につくか次第ではありますが、それぞれが責任を果たしていかなくてはなりません。そのためには世界の人々とパートナーシップを結んでいく必要があり、環境問題を真剣にとらえることが重要です。SDGsは2030年までの目標ですが、新型コロナ禍の影響もあり現在のところそのターゲットの15%しか達成しておらず、今後に向けてさらなる努力が必要であり、AI技術はその解決策として期待されています」と強調。そのうえで、AIを用いた天気予報や経済状況の予測、企業の顧客データ管理、マーケティング、水需要予測、気候変動などに関する具体的な活用方法とSDGs達成、世界平和実現との関連性を指摘しました。
講演後には質疑応答も行い、学生から「講演を通じてAIとSDGsの関係がよく分かりましたが、世界ではこの次になにが起きるのでしょうか」「生成AIであるChatGPTが普及する一方で、その間違いも話題になっています。AIによる未来予測の正しさをどのように検証すればよいのでしょうか? また、AIを扱うときにはどのような注意が必要でしょうか?」といった質問が寄せられ、マルワラ氏が丁寧に回答しました。聴講した学生の伊原顕さん(国際学部1年次生)による記念の花束贈呈に続いて、本学の細田衛士副学長(文系担当)があいさつし、「マルワラ先生は国内すべての都道府県を巡り、日本中の大学とリレーションシップをつくろうと考えられています。その中で、本学で講演いただいたのはとても光栄なこと。学生の皆さんはこの機会に、明日の自分がどう生きるか考えてほしい」と呼びかけました。 なお、講演前には梶井龍太郎学長代理、細田副学長、吉川直人副学長(国際担当)とマルワラ氏が懇談。今後のさらなる連携に向けて意見を交換しました。