大学院医学研究科マトリックス医学生物学センターと総合医学研究所が2月6日に東京?霞が関のbet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户校友会館で、「臓器線維症の病態解明と新たな診断?予防?治療法開発のための拠点形成」をテーマとしたシンポジウムを共同開催しました。本センターが文部科学省の「平成27年度私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」の採択(5年間)を受けて取り組んでいる研究の中間成果報告会として開いたものです。本テーマに関連する分野の研究の第一人者である東京大学大学院教授の松島綱治氏と慶應義塾大学名誉教授?順天堂大学客員教授の岡田保典氏、東北大学名誉教授の貫和敏博氏の3名を外部評価者に迎え、若手研究者5名が最新の成果を発表。学内外の研究者や大学院生、企業関係者ら約50名が参加しました。
2014年度に大学院医学研究科に設立されたマトリックス医学生物学センターは、がんや肝硬変など多くの内臓の病気の発病や進行にかかわる細胞外マトリックス(細胞間物質)を対象とした世界初の研究拠点として注目されています。総合医学研究所は、基礎医学研究の成果を新技術の開発や臨床に生かし、総合的な医学の発展に寄与することを目的として1980年に創設。再生医療やゲノム解析といった先端分野に関する数多くの画期的な研究成果を発表しています。両組織は専門や領域をこえて、他学部や企業の研究者とも連携協力しながら研究を進めています。
研究発表に先立ち、今井裕副学長(医療健康担当)と大学院医学研究科の小林広幸研究科長があいさつ。続いて、本センター長で研究代表者の稲垣豊教授が、研究の目的や意義、これまでに行ったセミナーや評価会、論文発表について説明し、「基礎研究の成果を生かし、採択期間が終了するまの2年間で臨床につながる具体的な成果を出したい。“マトリックスの研究なら東海大”と評されることを目指します」と語りました。
研究発表では、各プレゼンテーションに対して3名の外部評価者を中心に会場から多くの質問や意見が出され、活発な議論を展開しました。講評では松島氏が、「線維化を中心に据え、レベルの高い研究を進めていると感じました」とコメント。岡田氏は、「マトリックス医学生物学センターはユニークな研究拠点で、学内の研究体制も素晴らしい。若手研究者が着実に基礎研究を進めていることも高く評価したい。今後も“必ず成果を出す”という強い意志を持って研究に臨んでください」と激励しました。また貫和氏は、「論文発表にも果敢に挑戦しており、若手研究者の育成に力を注いでいことがわかりました。マトリックスは医学研究において取り残された分野です。今後の研究成果に期待しています」と語りました。
最後に、総合医学研究所の安藤潔所長が登壇。3名の外部評価者と来場者への謝辞を述べ、「5名の発表は大変わかりやすく、また、質問にも自らの考察を踏まえて真摯に答えていると感じました。各先生方からいただいた有用なコメントを参考に、引き続き努力してください。2年後の最終報告会では、診断?予防?治療法に結びつく成果が報告されることを期待します」と結びました。
なお、当日の発表者とテーマは以下のとおりです。(発表順)
◇三浦浩美(マトリックス医学生物学センター/総合医学研究所/
医学部医学科基礎医学系分子生命科学 特定研究員)
「高効率ノックインシステムの開発と線維化病態解明のためのマウス作製」
◇中野泰博(マトリックス医学生物学センター/総合医学研究所/
医学部医学科基盤診療学系再生医療科学 特定研究員)
「Notchシグナルを介した線維肝の再生と肝癌進展の分子機構」
◇加藤俊治(医学部医学科基礎医学系生体防御学 奨励研究員)
「新たな脂質酸化マーカーの探索と臓器線維症診断への展望:“量”から“質”へ」
◇柳川享世(マトリックス医学生物学センター/総合医学研究所/
医学部医学科基盤診療学系再生医療科学 特定研究員)
「新規再生促進因子に着目した肝硬変に対するエクソソーム医療の創出」
◇滝原崇久(医学部医学科内科学系呼吸器内科学 助教)
「ドラッグリポジショニングのための新たな抗線維化薬スクリーニング系の確立」