総合科学技術研究所では12月20日に湘南キャンパスで、「流体工学に関するトピックス」を開催しました。本研究所では今年度から、流体工学分野をはじめさまざまな現象の「可視化」に取り組んでいる研究者を結集して「メソ領域における『流れ』の見える化」コンソーシアムを立ち上げています。今回のシンポジウムはその活動を含めた本学の流体工学を専門とする研究者の研究内容を紹介し、さらなる連携につなげる機会として実施したものです。約80名の教員や学生らが参加し、活発な意見が交わされました。
まず基調講演として、モスクワ国立総合大学のエカテリーナ?コロティーヴァ博士と、東北大学流体科学研究所教授の永井大樹氏が登壇しました。エカテリーナ博士は自身が所属するモスクワ総合大学の物理学部、さらにプラズマ流体力学?流れの可視化研究室の活動を紹介し、「高速空気力学の定量的な可視化研究」について解説。永井氏は「宇宙飛行体周りの流れ場の可視化―高速?高温流れの可視化計測―」と題し、感温塗料や感圧塗料などを駆使して取り組む自身の研究について語りました。
続いて本学の水書稔治教授(工学部航空宇宙学科航空宇宙学専攻)が、次世代エンジンの開発に用いる性能解析技術に関する研究について報告。狭小な測定部での計測に適した「点回析干渉計」を利用し、次世代エンジン「パルスデトネーションエンジン」が発生させる流れ場の構造解明に関する研究を紹介しました。また高橋俊准教授(工学部動力機械工学科)が講演し、自身の研究室で学生らとともに取り組んでいるさまざまな研究テーマのうち、自動車エンジン内部のオイル流動解析や腎臓結石の排出予測に向けた結石流動解析などを紹介。流体工学という研究分野の裾野の広さを示しました。
その後、ポスターセッションとして大学院工学研究科および工学部の機械工学科、動力機械工学科、航空宇宙工学科航空宇宙学専攻などに所属する学生が、それぞれの研究テーマを発表。約30件のポスターが並ぶ前で、教職員や学生らが活発に質疑応答する姿が見られました。