湘南キャンパスのイメージング研究センターで昨年12月14日に、秦野市立西中学校の科学部に所属する生徒たちを対象に、「見て?測って?知って何が見えるか体験会」を実施しました。理科に興味のある中学生たちに、本センターの機器や研究に触れることで自身の興味や疑問を深め、考えるきっかけにしてもらおうと企画したものです。当日は、1年から3年までの生徒10名が参加。初めに、工学部機械工学科の槌谷和義教授が本センターの設立経緯や機器の概要、自身が手掛けた“蚊を模倣した”痛くない注射針(マイクロ無痛針)の開発事例から最新機器の活用について講義しました。
続いて、粟野若枝職員(学長室?研究推進担当)が、使用する卓上走査顕微鏡、X線CT装置、白色干渉顕微鏡、蛍光実体顕微鏡といった機材について説明。生徒たちはあらかじめ、髪の毛やカメムシ、硬貨や紙幣やシャクシャにしたアルミホイルなど自分たちが観察したい身近なサンプルを提出しており、少人数に分かれて、顕微鏡での観察に臨みました。槌谷教授の研究室に所属する大学院生らが顕微鏡について説明しながら操作し、生徒たちは「同じサンプルでも違う機器で観察することで見え方が違う」など新たな気づきに驚きの声を上げ、興奮した様子で長時間にわたって観察を続けました。また、本センターが解明に協力した本学文明研究所のアンデスコレクションに所蔵している楽器復元模型を手に取り、実際に音を出すなどして研究活用の実例も学びました。
1年生の女子生徒は、「紙幣の観察では印刷の最新技術を知ることができて、なぜそこまで高度な技術を使うのかまで考えました。もっと知識を蓄えてまた来たいです」と話しました。観察をサポートした田中裕一朗さん(大学院工学研究科機械工学専攻1年次生)は、「自分が中学校のころと比べて、生徒たちの好奇心の強さに驚きました。新鮮な発想に触れて、研究に取り組む思いを新たにしました」と話しました。また、当日は中学校の理科の教員に内定している学生も参加。千葉俊さん(教養学部4年次生)は、「いずれは教え子たちを連れて訪れたい。中学生のころにこのような最新機器を体験するワクワク感を感じると、理科が好きになってくれると思います」と話しました。
槌谷教授は、「大学で言えば、中学校の理科の授業は“座学”であり、今日のように自身の興味があるサンプルを本センターの最新設備を使って観察することは“実学”に当ります。子どものころから『何を勉強したいのか?』が少しずつ明確になれば、理系離れはもとより、大学さらには日本の科学技術やイノベーションの一翼を担う存在となる修士や博士への進学などへのトリガーになると期待しています。そのためにも、今日の成果を家庭に持ち帰って共有することで、保護者にも周知してもらい、より多くの人たちに本センターを活用してもらえれば」と期待を寄せました。