健康学部健康マネジメント学科では、春学期に開講した「フィールドワークA」の授業で「湘南いきもの楽校―素敵な未来を子どもたちに」を実施しています。この授業は、健康を多目的にとらえるために学生が地域のフィールドを訪れ、問題を発見して解決するにはどうしたらいいかを考察し、実践していく選択科目です。学生は大学近隣の平塚や秦野、伊勢原を中心に神奈川県内の各地域に訪れ、実践をもとに学びを進めていきます。「湘南いきもの楽校」のほかにも「プレイパークで遊ぼう!~現代社会における遊びの意義を考える~」「はだの子ども支援プロジェクト」「健康バスと伊勢原市の健康増進事業」「地域の高齢化や健康課題に挑戦するソーシャルベンチャー」のプロジェクトがあり、5月下旬から9月にかけて順次行っています。
「湘南いきもの楽校」のプロジェクトは、平塚市の馬入川(相模川の河口付近)の水辺での「楽校」運営を基軸に、生き物と共存したまちづくり、子どもたちを野に戻す活動に取り組む「NPO法人暮らし?つながる森里川海」の協力を得て、「サステナブル(持続可能)な社会」と「幸せ(Well-Being)」について考えることを目的としています。5月27日にはオリエンテーションとして馬入川を訪れ、NPOの会員からレクチャーを受けた後、実際に川に入ってどんな生物が生息しているかを調査。エビ、カニ、ハゼなど20種類以上の生物を採取し、樹脂製の蛇カゴ「石倉カゴ」を使ってウナギの生息調査をしたほか、神奈川県水産試験場の研究員による指導のもと、水質調査も行いました。
6月9日には馬入川周辺に生い茂る草や木の中に動物を撮影するセンサーカメラを取り付けて観察したほか、モグラの巣の型取りも体験。16日にはNPOと協力して「やぎ島体験ツアー」を開催し、参加した小学生とともに干潮時にしか上陸できない馬入川の「やぎ島」にわたり、ウナギやカニなどを捕まえて生態調査を実施しました。本プロジェクトに参加している綿野義人さん(1年次生)は、「生き物が好きな子どもたちが多く、夢中になって探している姿を見て、やはり外に出て体験してみないとわからないことがたくさんあると感じました。科学技術が発達し、ゲームなどもよりリアルになっていますが、体を動かすことで健康になり、人と触れ合うことで心の健康にもつながると思います」と感想を話していました。
また、この「湘南いきもの楽校」のプロジェクトは、「水と健康」という大きなテーマから捉えることも目的にしています。その一貫で、7月5日には本学科の石井直明教授による特別講義「からだと水」がありました。石井教授は地球上での水の循環や、人間の体の中での水の役割、体内水分量などを説明し、「人間は水さえあれば食べ物がなくても2、3週間程度生きられますが、水なしでは4、5日で命を落としてしまいます。体内水分量を増やすためには適度にこまめに水分補給をすることが大切です。また、筋肉の約75%は水分なので筋肉量を増やすことも重要です」と解説。最後に、「自然環境を大事にすることで、安全な水を手に入れることができます」と語りました。学生たちは、「川辺の生物や自然を守れば自分たちを守ることにつながると感じました」「さまざまな国の水事情や、筋肉と水のかかわりについて、もっと深く学んでみたい」と感想を述べました。
なお本プロジェクトでは今後、8月5日(日)に馬入川でカヌーと魚捕り体験を、9月2日(日)にはナイトハイク(夜の生き物観察)を実施する予定。10月15日(月)には5つのプロジェクトに参加している学生たちが、授業での学びを発表する報告会を開催します。