海洋学部環境社会学科の李銀姫准教授がコーディネーターを務める「漁する女子ジャパン」プログラムのローンチングイベントが10月17日に、静岡県?清水漁業協同組合用宗支所で開催されました。「漁する女子ジャパン」は、カナダ?ニューファンドランド地域で実施されている「漁する女子カナダ」プログラムと連携し、女性の漁業への認識?参画を高めることを目的として企画されたものです。日本の小規模漁業?沿岸漁業の研究ネットワーク「TBTI Japan」や清水漁業協同組合用宗支所、本学海洋学部、静岡県水産?海洋局など関連機関が連携し、来年9月まで月1回行う体験型教育プログラムを通じて、漁業の魅力や課題、ジェンダー問題などを学びます。第1回目の今回は、プログラムのローンチングも合わせ、拠点となる用宗漁港について理解を深めることを目的に開催。イベントには、日本側から約25名、カナダ側から遠隔で約20名が参加し、李准教授と共同コーディネーターを務める水産学科の平塚聖一教授、海洋学部と大学院海洋学研究科の学生らが運営を担当。プログラムには、地域の小学生や市民ら約10名が参加しました。
当日は、カナダとZoomでつなぎ、TBTIグローバル代表のラタナ?チュンペッディ氏と「漁する女子カナダ」プログラムの代表を務めるキンバリー?オーレン氏があいさつ。日本でのプログラム開始を祝うとともに、「漁業を持続可能な仕事として未来に残すためには、女性の参画がとても大きな意味を持ちます。来年は静岡県とカナダで世界小規模漁業会議が開催されるので、皆さんとお会いできるのを楽しみにしています」とメッセージが寄せられました。続いて李准教授が企画趣旨を説明し、用宗支所販売係長の村越浩二氏がシラス漁について解説。参加者たちは漁港の歴史や漁の手法をクイズ形式で学び、実際に市場や加工場を巡りました。最後に地域の資源について検討するミニワークショップも実施し、「シラス」「海水浴」「アート」「持船城(用宗城)」など多彩なキーワードでその魅力を掘り下げました。参加者からは、「市内に住んでいながら地元の魅力やシラス漁のことをあまり知らなかったので、李先生や用宗支所の職員さんたちの話はとても興味深く勉強になりました。今後もプログラムを通じてより漁業について学び、いつかカナダにも訪れてみたい」といった感想が聞かれました。
李准教授は、「小規模漁業の持続可能性の確保には女性の参画がとても重要ですが、参加者の中には“以前から漁業に興味があったけれど、男性の世界だと思いあきらめていた”という声もありました。日本はジェンダー?ギャップ指数が世界120位と先進国の中で遅れをとっており、漁業も例外ではありません。日本のジェンダー問題を小規模漁業から率先して改善できるようにTBTI Japanとして推進していきたい。このプログラムがその契機となることを願っています」と語りました。