海洋学部水産学科食品科学専攻では、7月8日に北海道根室市との共催で本学科の学生に向けたオンライン共同研究成果発表会を開催しました。2010年に根室市と本学が結んだ相互協力協定の一環で、水産分野の人材育成や交流を促進しようと初めて企画したものです。本学科では毎年10月から11月にかけて根室市に学生1、2名を派遣し、同市の職員とともに食品開発の基礎研究やヤナギダコのふ化技術の向上、食品メニュー開発に取り組んでいます。これまでに根室市の特産品を使ったビスクや海鮮パスタソースなどが商品化され、一部は同市へのふるさと納税の返礼品にも活用されています。
当日は、本学科開講科目「食品栄養学」を受講する2、3年次生39名が参加。根室市職員が協定締結以来進めてきた共同研究の成果や市が抱える課題などを報告したほか、抱卵したメスのヤナギダコから稚ダコのふ化までを効率的に行う仕組みについては、水槽をライブ中継しながら説明しました。発表後、学生からは繁殖に使った親ダコの活用法や育成の費用対効果などについて質問が上がるなど活発な意見交換が展開されました。
参加した学生は、「その土地の特徴や特産品を生かして、課題解決に取り組む活動にとても興味が生まれました」「将来の夢は食品開発に携わることなので、一つひとつの事例がとても参考になりました。大学で学んでいる知識が、実社会でも数多く活用されていることもわかったので、これまで以上に学科の勉強に力を注ぎたい」と話していました。食品栄養学の授業を担当する清水宗茂准教授は、「参加した学生は、根室市を訪問したことがありません。しかし発表会後の感想を聞くと、根室市に対して親近感を抱き、現状や課題解決について真剣に考えている様子でした。学生の中には公務員を目指す学生もいるので、実際の仕事に触れて社会を知るきっかけにもなったと感じています」と語り、根室市との共同研究に携わる後藤慶一教授は、「商品開発は製品の完成が一つのゴールであり、それまでの過程はトライ&エラーの連続です。しかし、大きな達成感を得ることは将来自分がどうなりたいのかを考える契機になります。今後も根室市と多彩な連携を深めながら、共同研究を展開していきたいと思います」と話しています。