政治経済学部政治学科の授業「専門演習2」で11月14日に品川キャンパスで、特別公開講義「ベトナム人技能実習生と私たち~在日ベトナム人支援の現場から」を実施しました。西田竜也教授が担当するこの授業は、3年次生を対象に専門領域の研究テーマを集中的に学ぶ少人数のゼミナールで、今回はNPO法人「日越ともいき支援会」の理事で僧侶でもある吉水慈豊氏を講師に招きました
当日は、西田教授のゼミで学ぶ学生を中心に約20名が聴講。最初に西田教授が、「日本では現在、約40万人の技能実習生が働き、中でもベトナム人技能実習生の割合は最大です。しかし、この技能実習制度にはさまざまな問題が指摘されています。この公開講座では、その実態と制度の問題点について考え、日本で生活し、働くことを望む外国人との共生について考えたいと思います」と目的を話しました。続いて、ベトナム人技能実習生の支援を10年以上にわたり続けている吉水氏のプロフィールを紹介しました。続いて吉水氏が登壇し、「皆さんの生活とベトナム人技能実習生がどのように関わっているか知っていますか?」と学生に問いかけ、コンビニエンスストアのお弁当づくりや建設現場など、身近な場で多くのベトナム人技能実習生が働いている状況を紹介。「今日は、日本が国策として受け入れておきながら私たちのようなNPOに支援を求めて駆け込んでこざるを得ない若者が多い状況を現場の目線で伝えたいと思います」と話しました。
吉水氏は、ベトナムの若者がなぜ日本を目指すのか、後を絶たない実習生の失踪とその原因、妊娠を理由にした解雇や縫製工場での残業代不払いなどさまざまな事例を説明し、急増する在日ベトナム人からの支援を求める声に応え、今年度だけでも支援対象者が7800名以上に上る実情を紹介。「私たちの便利な生活の裏側には、なくてはならない存在として必ず外国人の若者たちがいます。その存在に感謝し、共に支え合い、誰もが安心して暮らせる社会を実現していくことが大切。皆さんと同世代の若者が異国の地で頑張っていることを忘れないでください」と語りました。
質疑応答では、若者を送り出すベトナム側の対応や、諸外国と比較した日本の現状などについて質問が相次ぎ、吉水氏が丁寧に答えました。学生からは「自分が済む地域でもベトナムの若者を多く見かけるが、今日の話を聞いて印象が変わった」「祖国に残した家族のために懸命に働いている彼らの困難を知り、柔軟に向き合うことが必要だと思った」などの感想が聞かれました。西田教授は、「現場で活動している人たちの生の声は説得力が強い。今後も品川キャンパスの地の利を生かし、多彩な活動に携わる人たちを外部講師に招いた講義を実施したい」と話しました。