海洋学部水産学科の李銀姫准教授が会長を務める「静岡県海業推進本部」が、9月9日に静岡キャンパスで「静岡県海業推進セミナー」を初めて開催しました。今年度に発足した同本部は、海や漁村に関する地域資源の価値や魅力を活用して、漁業者の所得や漁村の活力をめざす「海業(うみぎょう)」について、漁業関係者の理解促進に向けたセミナーやワークショップの開催、各地域の事業費の補助金支援等を行っています。6月には第1回本部会議が行われ、2回目の活動となった今回のセミナーには静岡県内の漁業関係者約60名が参加しました。
当日は初めに李准教授があいさつに立ち、「水産庁が海業の推進に向けた取り組みを始めており、2023年は海業元年ともされている等、全国的に盛り上がりを見せる中、静岡県では今年度から海業推進本部が立ち上がり大変うれしく思います。今回が有意義な議論の場になれば」と語りました。同本部副会長で、東京海洋大学の教授で副学長の婁小波氏による「海業推進の意義と課題」と題した基調講演では、海業に取り組む意義について個別経営体、地域社会、国民経済といった3つの視点から語り、現場で起き得る課題とその解決方法を解説。続けて、企業や全国の漁港による海業の取り組み事例が紹介されました。また、李准教授の進行で行われたワークショップでは、参加者たちが6つのグループに分かれて静岡県内漁村地域に存在する地域資源を探り、その活用方法と課題を考察。清水や伊豆、由比など各地域で特色のある食事や、アクティビティを楽しめる案が多く上げられました。
参加者は、「漁業関係者の意見交換の場は少ないので、今回のセミナーに参加して互いの取り組みや苦労を共有でき、勉強になることが多かった」と充実した表情を見せていました。李准教授は、「海業推進においては、施設や設備等といった『ハード整備』だけでなく、関係者で課題などの共通意識を持って一緒に取り組んでいく『ソフト整備』が大事だと思っています。今回のセミナーでは、さまざまな領域で漁業に携わる人同士で交流しながら、地域資源の新たな活用方法に関する意見も飛び交い、人がつながっていく様子が見られて非常にいい機会になりました」と語っていました。