資格教育センターの篠原聰准教授と学芸員の資格取得を目指す学生が、10月13、14日に東京都北区の文化芸術活動拠点「ココキタ」などで開かれた「造形制作&彫刻メンテナンス体験ワークショップ」の運営に協力しました。公益財団法人北区文化振興財団が主催したこのイベントは、同区内にアトリエがある彫刻家?北村西望の生誕140年を記念したもので、屋外彫刻を触りながら、視覚だけでなく触覚も使って鑑賞しようと開かれました。期間中は篠原准教授のほか、多摩美術大学助手の高木謙造氏、「彫刻みまもり隊みつばち」代表の高嶋直人氏が講師を担当。中学生から大人まで8名が参加しました。
初日の13日はココキタで、篠原准教授が北村西望の生涯や、多くの芸術家がアトリエを構えていた北区の特色、市民によって全国で展開されている彫刻メンテナンスの活動を紹介。高木氏の指導で、「こころのなかの山」をテーマにした彫刻制作も実施し、水粘土で参加者が自分だけの山を作り、石膏型に置き換えて石膏を流し込み、14日の午前中に型から彫刻を取り出してオリジナル作品を完成させました。同日午後からは北区中央公園に移動して、篠原准教授と高嶋氏による指導で赤堀信平作の彫刻『慈悲』のメンテナンスに取り組みました。参加者たちは、汚れや傷、固定状態を観察した後、専用の洗剤やブラシを使って汚れを落とし、ワックスもかけました。参加者からは、「造形制作の後にメンテナンスに取り組んだので、これまでよりも彫刻作品を身近に感じました」「今まで屋外彫刻は街の風景の一部に過ぎませんでした。街中で彫刻を見かけたときには立ち止まって、作者がどんな思いで作ったのか、考えをめぐらせたい」「学校では美術の時間が少ないので、子どもたちにとって彫刻を学ぶ楽しい時間になった」といった感想が寄せられました。
(公財)北区文化振興財団の種井丈氏は、「篠原先生と連携して2020年度からワークショップを開催しています。区の財産でもある彫刻作品を区民の方とともにメンテナンスしてもらい、彫刻が細部まで見られる状態に戻ると同時に、参加される区民の方々の充実度も高く大変ありがたく感じています」と話していました。篠原准教授は、「オリジナルの造形を制作してから彫刻家の実際の作品に触れれば、彫刻に対して愛着を持ってもらいやすいと感じました。このようなワークショップを継続的に開いていきたい」と語りました。