「第1回駿河湾研究会」を開催しました

大学院海洋学研究科と本学海洋研究所が8月27日に、「第1回駿河湾研究会」を開きました。今年度から海洋研究所の所長に海洋研究開発機構(JAMSTEC)前理事長の平朝彦教授が就任。平教授が長年にわたり地質学の観点から駿河トラフの地形について研究してきたことから、本研究科と研究所ではこれまで以上に駿河湾をフィールドとした研究を推進していく計画です。今回の研究会は、この研究活動のキックオフとして、教員同士が互いの研究内容を共有するとともに、今後の共同研究の方針を検討する海洋学研究科のFD研究会を兼ねて企画。学内外の研究者や県の海洋事業関係者ら約60名が、グループウェア「Teams」のオンライン配信や清水キャンパスに設けた会場で聴講しました。

初めに、山田吉彦静岡キャンパス長が研究会の主旨を説明し、「本学が”駿河湾総合研究機関”として活動を進めていくために、教員や県の方々と情報を共有し、定期的に市民の皆さまへ研究成果を紹介する機会を設けていきたい」と話しました。続いて平所長が登壇し、JAMSTECでの地球深部探査船「ちきゅう」を用いた深海掘削調査の成果や、海洋学研究科の大学院生による海底調査について紹介したほか、多様な研究分野の教員らによる「駿河湾総合研究プロジェクト」の構想を発表。「近年では無人探査機など新たな観測手段ができたことで、駿河湾の海底地下に微生物が生息していることが明らかになっており、地下生命圏の解明など多様な調査を実施していきたいと考えています。そのためにも学内で文明、生物、理工系など各分野の研究者が連携してデータベースを作成し、各研究機関や県の方々との協力関係を深め、皆さんと一緒に世界トップクラスの研究拠点をつくり上げていければ」と語りかけました。

また、海洋の生物をテーマに、海洋学部の教員が情報提供者として登壇。水産学科生物生産学専攻の高見宗広講師は、深海魚の仔稚魚の採取方法や、調査によって成長過程が明らかになった深海魚の事例を紹介し、海洋生物学科の大泉宏教授は専門とする鯨類の研究について、駿河湾で発見したクジラやイルカの特性などを解説しました。最後に同学科の西川淳教授が、海洋地球科学科の坂本泉教授と共同で取り組んでいるサクラエビの研究を紹介。2018年から駿河湾の名産であるサクラエビの不漁が続いていることを受け、漁獲量の調節のために県と共同で開発している漁業支援システムについて説明しました。各テーマの発表を受け、参加した教員らが研究内容や今後の展開について活発に意見を交わしました。

今後は、9月17日に海洋文化に関連した研究活動をテーマにした第2回研究会を開催し、11月には国際シンポジウムを実施する予定です。