bet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户では11月29日に清水港内三保内浜周辺で、学園の海洋調査研修船「望星丸」(国際総トン数=2174トン)を活用した国内初の災害医療実証訓練を実施しました。この訓練は、内閣官房が公募した「災害医療における船舶を活用した実証訓練事業」の採択を受け、望星丸利用の有用性と課題を明らかにするために行ったものです。当日は、静岡キャンパスの海洋学部と人文学部の教職員や学生、望星丸の乗組員、伊勢原校舎にある医学部付属病院高度救命救急センターの医師、看護師ら約100名が参加しました。
訓練は、大地震発生から約1週間が経過した急性期から亜急性期における、陸の孤島となった沿岸部地域の被災者に対する支援を想定。災害派遣医療チーム「DMAT」が三保内浜で患者の治療優先度を決めるトリアージを行った後、中等症から軽症の患者を本学が所有する小型舟艇「北斗」で沖に停泊している望星丸に運び、船内で診療しながら非被災地の医療機関まで搬送するシナリオで実施しました。患者は、上腕や肋骨の骨折、頭部挫傷、車いす利用者、寝たきりの高齢者、喘息や糖尿病、統合失調症で治療中の者、妊婦など、0歳から90歳までの約35名を想定。望星丸では診療のほか、段差や階段が多い船内での患者の移動についても検証しました。
DMATの一員として参加した土谷飛鳥医師(医学科准教授)と野口航医師(同助教)は、「車いすや担架による移動など、船内でも計画していた以上の行為ができるとわかったのは大きな収穫」「船内の環境に合わせた工夫と必要な物品の持ち込みにより、十分に医療活動ができると感じました」とコメント。患者役を務めた海洋学部航海工学科航海学専攻の4年次生は、「医療従事者の皆さんの活動を目の当たりにし、被災した方の救助支援も航海士の重要な役割の一つだと認識しました。この体験を就職後に生かしたい」と話していました。
全工程の終了後には参加者が望星丸の船内に集合し、各分野の責任者らが訓練を総括。本事業を推進する内閣官房船舶活用医療推進本部設立準備室の栗原諒主査は、「悪天候でしたが、それゆえに実現の可能性について深く検証でき、非常に有意義な訓練だったと思います。政府としても、船舶の活用や民間単位の連携に関する検討をさらに進めていきます。引き続きご協力をお願いします」とあいさつしました。
続いて付属病院救命救急科の中川儀英診療科長(医学科教授)が、「望星丸の災害医療活用のポテンシャルを証明する訓練になったと思います。船内の医療活動では、車いす利用者の移動などが予想以上にうまくいき、医療活動の幅が広がりました。トリアージの際は、望星丸への乗船の可否を加味しての判断が必要になりますが、今回の訓練を踏まえてさらに検証し、東海大と望星丸の災害医療におけるプレゼンスを高めていきたい」と語りました。望星丸の上河内信義船長は、「風速は秒速11~12m、波の高さは0.5mと清水港内としては風が強く波が高い状況でしたが、北斗との接舷も安全に完了できました。両船は他の場所においても医療活動のサポートに十分活用でき、また、他の船でも対応可能という実感を持ちました」と振り返りました。
本事業のアドバイザーを務める平成立石病院副院長の大桃丈知氏は、「上河内船長のおかげで無事に接舷でき、中川先生のリーダーシップと守田誠司先生(高度救命救急センター所長?医学科教授)をはじめとする医療従事者のチームワークで医療救護活動を完遂できたのは素晴らしいことだと思います」と講評。さらに、望星丸の海底探査機能を生かし、被災直後にDMATを乗せて先遣隊として出動する有効性や医療用ユニットコンテナの搭載といった可能性についても指摘し、「ホテルシップ、ホスピタルシップとしての機能に加え、危険な場所から安全な場所に避難させるエバケーションシップとしての機能など、さらにプラスアルファが期待できる未来のある船だと思います。歴史のある船と聞いていますが、望星丸にはまだまだ現役で頑張ってほしい」と語りました。
最後に山田吉彦静岡キャンパス長(学長補佐?海洋学部教授)が、「望星丸の医療船としての新たな可能性を発見できたと同時に、小型船からの移乗といった課題も見えてきました。悪天候の中で一連の訓練を完遂できたことは、事業推進の道しるべになったと思います。大桃先生にアドバイスをいただくとともに海上自衛隊や海上保安庁の事例を研究し、同事業に採択された他のグループとも協力しながら船舶医療への展開をさらに進めていきます」と述べました。