海洋学部水産学科の清水宗茂准教授の研究室が、11月19日と29日に付属甲府高校で「しずまえ鮮魚を用いた冷凍寿司の官能評価会」を実施しました。同研究室では、昨年度から静岡市水産漁港課と共同で「しずまえ鮮魚」のブランド化を進めており、海に面していない地域に住む方々にも親しんでいただける商品の開発に取り組んでいます。しずまえ鮮魚は、駿河湾に面する静岡市の前浜で水揚げされる魚のことで、静岡県内ではある程度知られているものの、近隣の県での認知は進んでいません。そこで今回は、清水区内の新東名新清水JCTから中部横断自動車道でつながっているだけでなく、人口10万人当たりの寿司屋の店舗数が日本一で、寿司を好んで食べる山梨県の方に食べていただきながら商品化を進めようと、付属甲府高の教職員に協力いただき、評価会を実施しました。
清水准教授と学生らは、昨年12月上旬に付属甲府高の教職員に「魚を食べる頻度」「好みの水産食品」などをアンケートで調査。その結果をもとに、長期保存ができ、手軽に食べることが可能な「冷凍寿司」に決定しました。その後は、静岡市の職員と相談しながら、三保サーモンやタチウオ、桜えびを含む7種の寿司ネタについて研究を開始。シャリとネタの両方の品質を落とさないよう急速冷凍法を用いることで、今年10月に試作品が完成しました。
評価会では、両日合わせて28名の教職員が参加。30分ほど湯煎することで解凍した冷凍寿司について、シャリは「色味」「外観」「口当たり」「味」「総合評価」を5段階で、ネタはこの5項目に「匂い」を追加してさまざまな観点から評価しました。参加者からは、「解凍後の酢飯が柔らかすぎる」「見た目が少々崩れている」といった意見が聞かれたものの、「色味もきれいで、タチウオをはじめ日常的にはあまり目にしないネタが食べられるのがうれしい」といった高評価も受けました。また、静岡キャンパスで活動するスチューデントアチーブメントセンター?チャレンジプロジェクトの「商品開発プロジェクト」が開発した「あかもく揚げ」についても評価を受けました。
本研究の主担当を務めた関澤太一さん(水産学科4年次生)は、「長期保存可能な冷凍寿司はあまり前例がない商品のため研究?開発の過程では苦労しましたが、評価会で“おいしく食べられた”という声をいただき、商品化に向けたベースはできたのではないかと感じています。私は来年3月に卒業するので完成は見届けられないかもしれませんが、研究室の後輩たちが『しずまえ鮮魚』を全国にアピールできるような商品開発を進めてくれると期待しています」と語りました。清水准教授は、「解凍時間の短縮や冷凍前と解凍時の見た目の差異を減らすなど、商品化に向けた課題が明らかになりました。よりよい商品にするために今後も研究を続けていきます。改善に成功したらもう一度付属甲府高校で評価会を行い、ゆくゆくは中部横断自動車道から中央道を経てつながる長野県をはじめとした“海なし県”にも広めていきたい」と話していました。