理系教育センターの白澤秀剛准教授がこのほど、「ビジネススキル育成ボードゲーム」を開発しました。このボードゲームは、ビジネスに必要なコミュニケーションスキルを学ぶ企業用の教材で、「教育工学」や「認知行動療法」の理論に基づき、月面データプラットフォーム事業と宇宙輸送事業に取り組む株式会社Yspaceと、アナログゲームを中心としたマーケティングに取り組む株式会社ホロスエンターテインメントとの産学連携プロジェクトによって制作されたものです。
学生が主体的に学習する「アクティブラーニング」を研究する白澤准教授は、日々の講義を通して学生と接する中で、学生をはじめとする若い世代が短時間で問題解決型学習を体験できる教材の必要性を感じ、新たな教育教材の開発?研究に取り組んできました。2022年度から、Yspace、ホロスエンターテインメントと協定を結んでボードゲームの開発を推進。白澤准教授は、リーダーとしてゲーム設計や研修プログラム監修を担当しました。「プロジェクト型で作業を進める際には、リスクマネジメントの観点からもメンバーの不安要素を取り除くことが重要ですが、“不安を話したら迷惑になるのでは”と悩みながらプロジェクトに参加している人も多くいます。早い段階から不安を話せる環境づくりや、適切なタイミングを見極めて助けを求められるスキル育成に役立てる教材を作ろうと思いました」と振り返ります。
開発したボードゲームは、3~6名用の「プロジェクト型作業円滑化教材(宇宙開発版/ファンタジー版)」と、3名用の「援助要請円滑化教材(薬剤師版/ファンタジー版)」の4種類。プロジェクトマネジメントの手順や必要性を学べる「プロジェクト型作業円滑化教材」には、月面探査プロジェクトの成功を目指す「Project Luna」とファンタジー世界での魔王討伐をテーマにした「Project勇者」が、問題状況に直面した際に他者に援助を求める「援助要請」の適切な方法を学べる「援助要請円滑化教材」には、薬局での業務を体験できる「Black Farmacy」と、ファンタジー世界で冒険者を治癒しながら街を守る「治癒魔法師は諦めない」があり、それぞれ30~60分でプレイできる仕様になっています。
4月27、28日には東京ビッグサイトで開催された「ゲームマーケット2024春」にブースを出展。当日は、ボードゲームの体験コーナーを設置し、有志学生5名が運営をサポートしました。来場者は、「こんな研修だったら受けてみたい」「楽しいボードゲームだけでなく、研究のエビデンスがあって面白い」「初対面の人と同じグループを組んで参加しましたが、ゲームを通してコミュニケーションが取れました」と話していました。白澤准教授は、「ゲーム教材を受け入れてもらえるか心配していましたが、当日は企業で人事を担当されている方にも多く来場していただき、反響を得ることができました。今後はボードゲームの市販や企業研修への導入実現に向けて、さらに活動していきたい」と語っています。