観光学部観光学科の片岡勲人准教授と学生たちが、中日本高速道路株式会社(NEXCO中日本)と連携して秦野市の観光振興に関するフィールドワークを実施しています。NEXCO中日本は今年度中に、新東名高速道路の伊勢原大山インターチェンジ(IC)から新秦野IC間の開通とその区間に設置する「秦野丹沢スマートインターチェンジ(SIC)」のオープンを目指しています。これに伴い、NEXCO中日本から本学部に首都圏から秦野市への観光誘致策考案の協力依頼があり、ETCカードを使った高速料金と観光地のチケットなどがセットになった商品(ドライブプラン)の開発に取り組んでいます。
片岡准教授は、8月23日から31日まで開講したサマーセッション科目「観光学実習」の中で、履修学生11名とともに秦野市と平塚市の観光資源を調査。11月2日には秋学期の授業「シティプロモーション演習」の履修学生らも加わり、サマーセッションで調べた内容をもとに秦野市でフィールドワークを実施しました。「菜の花台展望台」や、地元野菜や農産物?加工品を扱う「じばさんず」、中央運動公園を中心として文化会館や図書館、総合体育館などが一体となった「カルチャーパーク」を歩いて調査。新秦野ICの工事現場や秦野丹沢SA?同SICに近い秦野市表丹沢野外活動センターも見学しました。
同日には、秦野市役所でNEXCO中日本秦野工事事務所所長を務める伊原泰之氏と秦野市役所産業振興課にぎわい創造担当の上松太一氏を前に観光誘致策を発表。武笠朔さん(3年次生)は、「秦野市は山が多く林業が盛んですが、働き手が少なく利益も下がっていると聞きます。林業を体験し、切った木でネックレスやキーホルダーづくりを体験できる企業や施設が多くあるので、それらを回るとポイントがたまり『はだのブランド』として認定されている工芸品などと交換できるシステムをつくってはどうでしょうか。リピーターを増やすことで、街でお金を使う人が増えるのでは」と提案。ウェルネスツーリズムをテーマにした小林潮音さん(同)は、「コロナ禍で人込みを避ける観光が注目されています。『森林セラピーロード』を歩き、森の中でヨガを体験したり、ハンモックに寝転んだりすることで心と体の健康につなげることができるのでは」と話しました。そのほかにも、観光地やリゾート地でテレワークを活用して働きながら休暇をとる「ワーケーション」ができる施設の建設や、戸川公園に農業体験ができる施設と農場を設ける案などを発表しました。
今後は、希望者を募ってフィールドワークを重ね、今回提案したプランを深化するとともに、新しいアイデアも年度内にまとめNEXCO中日本の担当者らにあらためて発表する予定です。片岡准教授は、「観光学部生の1年次生は湘南キャンパスで学びますが、地元の秦野市については知らないことが多く、調査を通じて新たな発見があったようです。授業で学んだことを実地で試す貴重な機会なので、実社会を意識して取り組んでほしい」と期待を語りました。