2016年の熊本地震で甚大な被害を受けた本学旧阿蘇キャンパスの敷地にこのほど、熊本県が「熊本地震震災ミュージアムKIOKU」を開設。7月15日にオープンしました。14日には県による完成式典が開かれ、本学から木之内均熊本キャンパス長をはじめ教職員、学生の代表者が出席しました。
熊本地震は震度7の揺れが28時間に2度発生するという歴史上類を見ない大規模災害で、本学農学部が設置されていた旧阿蘇キャンパス(現?阿蘇フィールド)も1号館をはじめ、多くの建物が損壊。近隣のアパートで暮らしていた学生3名の尊い命も失われました。熊本県では地震の経験や教訓を学び、風化されることなく後世に伝承するとともに、今後の大規模自然災害に向けた防災対応の強化を図ることなどを目的に、県内各地に点在する震災遺構等を巡る回廊形式のフィールドミュージアム「熊本地震 記憶の回廊」の整備を推進しており、2020年8月には旧1号館の建物と地表に現れた断層も整備されました。体験?展示型施設の「KIOKU」は、旧1号館に隣接するグラウンドに建設されたもので、館内には土砂崩れで押しつぶされた乗用車や道路標識、旧阿蘇キャンパス体育館に設置されていた時計、発生メカニズムなどを学べる映像展示もあり、未曽有の災害の記憶と教訓をいまに伝えています。
式典には、熊本県の蒲島郁夫知事や地元政界関係者、南阿蘇村など周辺自治体関係者、施工業者、県出身の俳優である宮崎美子さん、くまもとアートポリスコミッショナーを務める建築家の伊東豊雄さん、木之内熊本キャンパス長ら多数が出席。テープカットに続いて内覧会も行われました。本学学生代表として式典に出席した九州学生会副会長の村上智洋さん(農学部4年次生)は、「私は兵庫県出身で小さいころから阪神淡路大震災の話を聞いて育ちましたが、今回KIOKUに並んだ熊本地震に関するさまざまな展示をつぶさに見るうちに、南海トラフ巨大地震の発生も危惧されているにも関わらず自分は何も備えができていないのではないかと、あらためて防災対策の重要性について考える機会になりました。離れて暮らす家族との連絡方法など日常でできることから始めていこうと思います」と話しました。また、南阿蘇村を中心に震災の記憶風化を防ぐ活動に取り組むユニークプロジェクト?阿蘇MIRAI広場のリーダーを務める西原寛人さん(同2年次生)は、「私たちのプロジェクトでは、南阿蘇村の住民の皆さんとの交流イベントや地域活性化に関する取り組みを展開していますが、KIOKUをきっかけにしてより多くの人たちにこの地域に来てもえれば、振興につながるのではないかと期待しています」と語りました。