産官学連携センターでは11月20日に、科学技術振興機構(JST)の開催する「新技術説明会」を活用した「アグリビジネス新技術説明会」を開催し、本学の研究成果を紹介しました。首都圏で農学系学部を有する私立五大学(玉川?日本?東京農業?明治?東海)では、産官学連携によるアグリビジネス創出を目指して、2005年度よりセミナー形式の「アグリビジネスフォーラム」を開催してまいりました。2010年度からは「アグリビジネス創出フェア」に共同出展し、多くの方に研究成果を紹介、2016年度以降は、研究成果の技術移転に向けてより具体的に歩みを進めることを目指し、新技術説明会において各大学のシーズを発表しています。今回は、本学から農学部バイオサイエンス学科の木下英樹講師が取り組む「食材に合わせた乳酸菌の提供による新奇発酵食品の創出」について紹介しました。
開催に先立ち、今回の開催幹事校として研究推進部長の長幸平教授が、「本イベントは首都圏農学系私立五大学としての活動の一環であり、農学系シーズのマッチングを目指して開催するものです。今や農業は、農学のみならず幅広い分野の協力が不可欠になっています。また、大型の競争的資金の公募では、大学と民間企業との連携が求められるようになってきています。過去の新技術説明会をきっかけにした連携事例も生まれています。今回も大学と企業の連携構築につながることを願っております」と話しました。
木下講師は講演で、さまざまな場所に存在し、分離も容易で安全性が高いといった乳酸菌の利点から、従来の技術やその課題について説明。また研究室で取り組んでいるさまざまな食材を使った発酵性試験とその結果をもとに構築を進めている発酵菌ライブラリについて紹介し、「多様な食材に対して発酵性を示す万能型の菌と、特定の食材にだけ高い発酵性を示すスペシャリスト型の菌が存在します。また機能性についても解析を行っており、ライブラリでは発酵性と機能性を組み合わせ食材に与えられる機能性乳酸菌のデータ提供を目指しています」と話しました。
さらに、抗酸化能やデトックス能、糖尿病予防機能など研究室で解析を進めている機能性や「地域活性化のための種菌構想」として、地域の企業や農家に有用菌株や技術を提供し、優れた機能を持つ乳酸菌の活用を図る循環型の取り組みについて語り、「”発酵で地域を元気に!”をテーマに、農家の六次産業化を進めるなど支援の取り組みを通じて地域活性化に貢献したい。実用化に向けた課題をクリアし、企業と連携を図っていければ」とまとめました。終了後には興味を持った企業関係者らとの個別相談にも応じ、産学連携の可能性について意見を交わしました。
当日は約100名の企業関係者が来場し、盛況のうちに終了いたしました。